わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、価格交渉力の強化に向けて、どのような取引行為が親事業者の法令違反に該当する恐れがあるのかなどについて解説します。今回は「量産品と同じ単価での補給品販売の要請」についてご紹介します。
量産時と同価格で補給品の発注を受けた場合の対応は?
量産が終了した補給品支給の契約を結ぶ場合、量産時よりも少量にもかかわらず、量産時と同等単価で発注するなど、取引単価を不当に定めることは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)や独占禁止法に違反する恐れがあります。
【チェックポイント】
□量産打ち切り後に補給品として発注されたにもかかわらず、量産時と同じ単価で価格設定されていませんか。
□補給品生産における製品ごとの工程、工数などを考慮せず、発注者の一方的な単価設定ルールによる契約がなされていませんか。
□補給品の発注の際に、給付内容などを記載した書面が発注者から交付されていますか。
【相談事例】
Q.取引先から精密機器関連の部品の製造を委託されていますが、この部品を使用した製品の量産は終了し、補給品としてわずかに発注されているだけです。しかし、単価の見直しはされず、量産時の大量発注を前提とした単価で継続取引を要請されています。どのように取引先と交渉をしたらよいでしょうか。
A.量産終了後の取引条件の見直しを交渉することが大事です。補給品の発注数量が量産時より大幅に減少したにもかかわらず量産時と同等の単価で発注するなど、取引価格を不当に定めることは「買いたたき」の恐れがあります。このような場合には、①量産打ち切り後に補給品として発注されたにもかかわらず、量産時と同じ単価で価格設定しないように要請すること、②補給品生産における部品ごとの工程、工数などを考慮せず、発注者の一方的な単価設定ルールによる契約とならないように要請すること、③補給品の単価について、量産時とは異なる条件を加味しながら合理的に設定することを契約書などに明記するように要請するとともに、交渉経緯を書面(議事録など)で残しておくこと、が肝要です。
提供
公益財団法人 全国中小企業振興機関協会
下請取引適正化の推進を目的に、全国48カ所に設置された「下請かけこみ寺」を中小企業庁の委託により運営するなど、中小企業支援機関として各種事業を実施しています。http://www.zenkyo.or.jp
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