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スポーツライター 青島健太の注目アスリート 何事も諦めない―。現役にこだわるカズの生き方

サッカーJ2横浜FC対ザスパクサツ群馬で、前半ゴールを決める横浜FCの三浦知良選手 写真提供:産経新聞

このコラムで取り上げてきたアスリートの中でおそらく最年長だろう。50歳になったいまでもJリーグ(J2)でプレーを続ける「カズ」こと三浦知良選手だ。もちろん自身の持つ、Jリーグの最年長出場記録も更新し続けている。

横浜FCでプレーするカズは、その年齢を「売り」にお客さんを呼ぶだけの存在ではない。開幕から先発出場を続け3戦目(3月12日ニッパツ三ツ沢球技場)となる群馬とのゲームでは、世界新記録となる50歳でのゴールを決めてみせた。その喜びをカズはこう表現した。

「50歳だからというより、FW(フォワード)として点を取れたことが一番うれしい。どうしても年齢のことは言われますが、自分の中では重要視していません」

そう、自身の年齢をアピールするためではなく、あくまでもFWとして点を取ることで勝利に貢献しようとしているのだ。そのために日々の練習がある。それがカズのサッカー選手としての原点なのだ。

「僕の子どもより若い選手たちとも、毎日練習を全力でやっていく。その積み重ねがゴールになっているのかな」

カズといえば思い出すことがある。1998年フランスW杯の代表落ちだ。髪を金髪に染めたカズは、帰国後の記者会見で自身の処遇については一切語らず、代表へエールを送った。この時カズは、すぐさまグラウンドに戻って練習したという。何かが足りないから代表から漏れた。そんな選手は練習するしかない……という思いだったのだろう。

カズがここまで現役にこだわっているのはあの時の落選があったからだという意見もある。それも彼のモチベーションの一つなのかもしれないが、悔しさや意地だけでここまでプレーすることはできないだろう。純粋にサッカーが好きで、一日でも長くグラウンドに立っていたいと思っているはずだ。50歳を称える横断幕が並んだ開幕戦でカズはこんなことを言っている。

「選手として50歳を迎えられたことは本当に幸せです。たくさんの観客に囲まれて、スタジアムに入ったら、試合前だったけれど泣きそうだった。改めて60歳まで戦いたいと思いました」

50歳も通過点か。何事も諦めた時が終わりなのだと、カズの生きざまが教えてくれる。

青島 健太 スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている。

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