政府は3日、「第5次エネルギー基本計画」を閣議決定した。同計画では、「安全性を前提にエネルギー安定供給を第一とし、経済効率性を向上しつつ環境適合を図る『3E+S』の原則の下、2030年のエネルギーミックスの確実な実現を目指す」としている。日本商工会議所の三村明夫会頭は同日発表したコメントで、「エネルギー政策の要諦である『3E+S』の考え方を基本に据え、2030年のエネルギーミックスの確実な実現を目指す姿勢を明確に打ち出したことを評価する」と述べた。また、エネルギーコストの負担抑制に向け、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しを確実に行うよう求めた。(関連記事2面に)
エネルギー基本計画は、生活や事業活動に不可欠なエネルギーに関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るために政府が定める計画。第5次計画では、2030年、さらには2050年を見据えた新たなエネルギー政策の方向性などを示している。
同計画ではFITの見直しについて、「再生可能エネルギー源の最大の利用の促進と国民負担の抑制を、最適な形で両立させるような施策の組み合せを構築することを軸として、法律に基づき、エネルギー基本計画改定に伴い総合的に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じるとともに、2020年度末までの間に抜本的な見直しを行う」とした。
原子力発電については、「いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体など関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」とした。三村会頭はコメントで、「安全性が確認された原子力発電所の運転再開を進めるとともに、基本計画には明記されなかった新増設・リプレースの必要性についても、早急に検討を開始していただきたい」と要請した。
また、コメントでは、2050年を見据えたシナリオ設計においても、「3E+S」が評価軸となり、日本にとって不可欠な考え方である「エネルギー選択の多様化」や「国民負担抑制」の考え方が盛り込まれた点を評価。一方、評価軸として「脱炭素化への挑戦」が掲げられたことに対して、「これだけが優先されるような議論が行われることは、『3E+S』のバランスが崩れ、国民生活や産業を支えるエネルギー供給に悪影響が及ぶ恐れがある。したがって、今後、長期的な視点に基づくエネルギー・環境政策を議論する際、あくまで他の評価軸と並列での議論が行われるべき」と強調した。
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