土岐商工会議所(岐阜県)は昨年度から引き続き、美濃焼業界支援事業として「絵付技術伝承塾」を開催している。同事業は、後継者不足などで急激に減りつつある美濃焼の職人や工房を支援するため、伝統技術の承継と若手技術者の育成を目的に企画したもの。今年度は4コースを設定し、美濃焼の活性化に注力していく。
美濃焼は、1300年あまりの歴史を有するといわれている伝統的工芸品だ。岐阜県南東部の東濃地域で生産されている陶磁器で、日本の陶磁器生産量の半数以上を占めている。しかし、その技術は一朝一夕に受け継げるものではなく、近年では後継者不足などによる工房の閉鎖が後を絶たない。そのため同所では、会員事業所からの要望もあり、地域産業の衰退に歯止めを掛けたいとの思いから同事業を開始した。
具体的には、「上絵専門課程」として、「水どき(赤絵)」、「油どき・金、ラスター」の2コースと、「下絵専門課程」、「デザイン・総合過程」を設定。それぞれ5~9回の実習カリキュラムで、美濃焼の伝統技術を学んでもらう。参加対象は、「美濃焼に従事する人、もしくは従事しようとする人」としており、20代を中心に県内外から申し込みがある状況だ。
また、昨年度の受講者の中には、実際に同所の紹介で美濃焼事業所に職人として従事することとなった人もいるなど、実績も生まれている。今後も地域に貢献できる事業として継続的に実施する予定となっている。
同所は、「美濃焼の技術は、人から人へと受け継がれるもので、その技術の連鎖を止めたくない。若い人が美濃焼の技術を学ぶきっかけを創出し、事業承継も含めた取り組みとして積極的に実施したい。そして美濃焼業界を盛り上げていきたい」と話している。
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