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平成28年高年齢者の雇用状況集計結果(概要) 「65歳定年制」14% 中小で高い採用割合

図1 定年制の廃止および65歳以上定年企業の状況

厚生労働省ではこのほど、高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況を集計した平成28年「高年齢者雇用状況」を取りまとめ公表した。本集計結果によると「65歳定年制」を採用している企業は、全体の14・9%、「定年制の廃止」をした企業は2.7%で共に微増傾向が続いている。その採用状況を企業規模別で見ると、大企業に比べ中小企業で採用割合が高いことが分かった。また、70歳以上まで働ける企業は21・2%で、前年比でわずかに増加した。特集では、本状況調査の概要を紹介する。

1 高年齢者雇用確保措置の実施状況

⑴全体の状況

〇高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」という。)の実施済企業の割合は99・5%(152275社)で、対前年差0・3ポイント増加、51人以上規模の企業では99・7%(10248社)で、同0・3ポイント増加となっている。

〇雇用確保措置が未実施である企業の割合は0.5%(748社)で、同0・3ポイント減少。51人以上規模企業では0.3%(305社)で、同0・3ポイント減少となっている。

⑵企業規模別の状況

〇雇用確保措置の実施済み企業の割合を企業規模別に見ると、大企業では99・9%(15795社)で、同変動なし。中小企業では99・5%(136480社)で同0・4ポイント増加となっている。

⑶雇用確保措置の内訳

〇雇用確保措置の実施済み企業のうち、 ①「定年制の廃止」により雇用確保措置を講じている企業は2.7%(4064社)で、同0・1ポイント増加。 ②「定年の引き上げ」により、雇用確保措置を講じている企業は16・1%(24477社)で、同0・4ポイント増加。 ③「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業は81・3%(123734社)で、同0・4ポイント減少となっており、定年制度(①、②)により雇用確保措置を講じるよりも、継続雇用制度(③)により雇用確保措置を講じる企業の比率が高い。

⑷継続雇用制度の内訳

〇「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業(123734社)のうち、 ①希望者全員を対象とする65歳以上の継続雇用制度を導入している企業は68・6%(84893社)で同1・5ポイント増加。 ②高年齢者雇用安定法一部改正法の経過措置に基づく継続雇用制度の対象者を限定する基準がある継続雇用制度を導入している企業(経過措置適用企業)は、31・4%(38841社)で、同1・5ポイント減少となっている。

⑸継続雇用先の内訳

〇「継続雇用制度の導入」により、雇用確保措置を講じている企業(123734社)の継続雇用先について、自社のみとしている企業は93・8%(116123社)で、同0・4ポイント増加となっている。

○自社以外の継続雇用先(親会社・子会社、関連会社など)としている企業は6.2%(7611社)で、同0・4ポイント減少となっている。

2 希望者全員が65歳以上まで働ける企業などについて

⑴希望者全員が65歳以上まで働ける企業の状況

〇希望者全員が65歳以上まで働ける企業は、113434社(対前年差5348社増加)で、報告した全ての企業に占める割合は、74・1%(同1・6ポイント増加)となっている。

〇企業規模別に見ると、 ①中小企業では、104926社(同4974社増加)で、76・5%(同1・7ポイント増加)となっている。 ②大企業では、8505社(同374社増加)で、53・8%(同1・1ポイント増加)となっている。

⑵定年制の廃止および65歳以上定年企業の状況

①定年制を廃止している企業は、4064社(同154社増加)で、報告した全ての企業に占める割合は2.7%(同0・1ポイント増加)となっている。

〇企業規模別に見ると、(ア)中小企業では、3982社(同137社増加)で、2.9%(同変動なし)。(イ)大企業では、82社(同17社増加)で、0.5%(同0・1ポイント増加)となっている。 ②65歳以上定年企業は、24477社(同1318社増加)で、報告した全ての企業に占める割合は16・0%(同0・5ポイント増加)となっている。

〇企業規模別に見ると、(ア)中小企業では、23187社(同1192社増加)で、16・9%(同0・4ポイント増加)。(イ)大企業では、1290社(同126社増加)で、8.2%(同0・7ポイント増加)となっている。また、定年年齢別に見ると、(ア)65歳定年の企業は22764社(同1 1181社増加)で、14・9%(同0・4ポイント増加)。(イ)66~69歳定年の企業は138社(同34社増加)で、0.1%(同変動なし)。(ウ)70歳以上定年の企業は1575社(同103社増加)で、1.0%(同変動なし)となっている。(図1)

⑶希望者全員66歳以上の継続雇用制度を導入している企業の状況

〇希望者全員が66歳以上まで働ける継続雇用制度を導入している企業は、7444社(同685社増加)で、報告した全ての企業に占める割合は4.9%(同0・4ポイント増加)となっている。

〇企業規模別に見ると、 ①中小企業では、7147社(同633社増加)で、5.2%(同0・3ポイント増加)。 ②大企業では、297社(同52社増加)で、1.9%(同0・3ポイント増加)となっている。 また、継続雇用の上限年齢別に見ると、 ①上限年齢66~69歳は495社(同32社増加)で、0.3%(同変動なし)。 ②上限年齢70歳以上は6949社(同653社増加)で、4.5%(同0・3ポイント増加)となっている。

⑷70歳以上まで働ける企業の状況

〇70歳以上まで働ける企業は、32478社(同2527社増加)で、報告した全ての企業に占める割合は21・2%(同1・1ポイント増加)となっている。

〇企業規模別に見ると、 ①中小企業では、3275社(同2281社増加)で、22・1%(同1・1ポイント増加)。 ②大企業では、2203社(同246社増加)で、13・9%(同1・2ポイント増加)となっている。

3 定年到達者などの動向について

⑴定年到達者の動向

〇過去1年間(平成27年6月1日から28年5月31日)の60歳定年企業における定年到達者(352761人)のうち、継続雇用された者は292408人(82・9%)で、うち子会社・関連会社などでの継続雇用者は14193人となっている。継続雇用を希望しない定年退職者は5 9485人(16・9%)で、継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者は、868人(0.2%)となっている。(図2)

⑵経過措置に基づく継続雇用制度の対象者を限定する基準の適用状況

〇平成27年6月1日から28年5月31日までの間に、経過措置に基づく対象者を限定する基準がある企業において、基準を適用できる年齢(平成27年6月1日~28年3月31日までは61歳、28年4月1日以降は62歳)に到達した者(103824人)のうち、基準に該当し引き続き継続雇用された者は93459人(90・0%)。

○継続雇用の更新を希望しなかった者は8019人(7.7%)で、継続雇用を希望したものの基準に該当しないとして継続雇用が終了した者は2346人(2.3%)となっている。

4 高年齢労働者の状況

⑴年齢階級別の常用労働者数について

〇31人以上規模の企業における常用労働者数(約3049万人)のうち、60歳以上の常用労働者数は、約325万人で10・6%を占めている。年齢階級別に見ると、60~64歳が約202万人、65~69歳が約95万人、70歳以上が約27万人となっている。

⑵雇用確保措置の義務化後の高年齢労働者の推移

〇51人以上規模企業における60歳以上の常用労働者数は約294万人であり、雇用確保措置の義務化前(平成17年)と比較すると、約189万人増加している。31人以上規模の企業における60歳以上の常用労働者数は約325万人であり、21年と比較すると、約109万人増加している。

5 今後の取り組み

⑴雇用確保措置の定着に向けた取り組み

〇雇用確保措置が未実施である企業(31人以上規模企業)が、748社あることから、これら企業に対しては、都道府県労働局、ハローワークを通じて、計画的かつ重点的な個別指導を強力に実施し、早期解消を図ることとする。

⑵生涯現役社会の実現に向けた取り組み

〇少子・高齢化の進行、将来の労働力人口の低下などを踏まえ、生涯現役社会の実現に向け、65歳までの雇用確保を基盤とする。

○高年齢者雇用安定法の義務を超え、年齢にかかわりなく働き続けることが可能な企業の普及・啓発などに取り組む。 

日本公庫調べ 訪日客歓迎が過半数 外国語対応が課題

日本政策金融公庫はこのほど、「生活衛生関係営業の景気動向等調査」(2016年4~6月期)の特別調査として実施した「インバウンド対応、金融機関との取引状況等に関するアンケート調査」結果を公表した。本調査によると「外国人観光客を積極的に受け入れていきたい」などとする回答が過半数を超えた。一方で「日本人観光客が減ってしまう」「外国人観光客の受け入れ方が分からない」と不安を訴える声も一定割合あり、今後の課題も浮き彫りとなった。特集では、本調査結果の概要を紹介する。

Ⅰ インバウンド対応

1 自店の属する地域で見掛ける外国人観光客の増減

○1年前と比べた自店の属する地域で見掛ける外国人観光客は、「増えた」が全体の4分の1を占めた。

○地域別に見ると、「増えた」の割合は、「北陸」「北近畿」「南近畿」「四国」「沖縄県」で全国値を大きく上回った。

2 外国人観光客の利用の有無

○外国人観光客の利用の有無は、「利用がある」が全体の約3分の1を占めた。業種別に見ると、「利用がある」の割合は、「ホテル・旅館業」「映画館」「飲食業」の順に高い。

○地域別に見ると、「利用がある」の割合は、「北近畿」「南近畿」が全国平均値を大きく上回った一方、「利用は全くない」の割合は、「北東北」「北関東」「信越」「沖縄」で、全国平均値を大きく上回った。

3 自店を利用している外国人観光客の国・地域

○自店を利用している外国人観光客の国・地域は、「中国」「韓国」「台湾」の順に高くなっている。

○地域別に見ると、「南近畿」「北近畿」は、多くの区分において全国平均値を大きく上回っている。

4 外国人観光客の受け入れによる売り上げの増減

外国人観光客の受け入れによる売り上げの増減は、「変わらない」が大半だが、「増えた」が全体の2割弱を占めた。

○業種別に見ると「増えた」は、「ホテル・旅館業」「食肉・食鳥肉販売業」「飲食業」の順に高い。

5 外国人観光客の集客に向けた取り組み・外国人観光客の集客に向けた取り組みで効果的なもの

○外国人観光客の集客に向けた取り組みは、〝メニューや施設内の案内などの外国語表記の実施〟〝多言語でのパンフレット、コミュニケーションツールの作成〟などの「外国語対応」や、〝Wi‐fiなどインターネット接続環境の整備〟〝クレジットカード決済の導入〟などの「機械・設備の導入」が実施されており、効果も上げている。また、事業者団体や同業者・異業種との連携など「他者との連携」に幅広く取り組んでいることがうかがえる。

6 外国人観光客に対する今後の方針・外国人観光客を受け入れる上での課題・外国人観光客を受け入れたくない理由

○外国人観光客に対する今後の方針は、「積極的に受け入れていきたい」「受け入れてもよい」の合計が過半数を超えた。

○外国人観光客を受け入れる上での課題は、〝メニューや施設内の案内などの外国語表記の実施〟〝従業員の語学力向上〟などの「外国語対応」の割合が高い。

○外国人観光客を受け入れたくない理由としては「その他」を除くと「日本人客が減ってしまうと感じる」「外国人客の受け入れ方が分からない」「店舗のイメージが変わってしまう」の順に高くなっている。

Ⅱ 金融機関との取引状況など

1年前と比べた借入金残高の増減動向は、「減少した」が6割超を占めた。

○今後1年間の借入方針を見ると、「減らす」とする回答が6割超を占めた。

○金融機関を選択する際の重視点は、「借入金利が低い」「担保や保証条件が柔軟」「日頃からつき合あいがある」の順に高くなっている。