日本商工会議所は11月17日、臨時会員総会などを都内で開催し、第30期役員(任期=2019年10月31日まで)などを選出した。会頭には、東京商工会議所の三村明夫会頭(新日鐵住金相談役 名誉会長)を再任。三村会頭は所信の中で、引き続き「中小企業の活力強化」と「地域の発展」を活動の柱とする考えを表明。「商工会議所の創始者である渋沢栄一翁の『民間の力こそが持続的な成長の原動力』であるとの精神に立ち返り、われわれ民間、企業経営者が将来に自信を持ち、デフレマインドを払しょくし、新しい時代にふさわしい活動を積極的に展開していこう」と呼び掛けた。
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臨時会員総会には、全国260商工会議所から会頭・副会頭ら約530人が出席した。臨時会員総会では、三村会頭の他、副会頭、監事を選任。副会頭は11人(下表参照)、監事には秋田商工会議所の三浦廣巳会頭、横須賀商工会議所(神奈川県)の平松廣司会頭、宇部商工会議所(山口県)の安部研一会頭の3人が選ばれた。
会頭に再任された三村会頭は、「『成長する経済』を実現し、新たな未来を築く~民間の力が持続的な成長の原動力~」と題した所信を表明。所信の中で、「就任の年に、アベノミクスが本格的にスタートし、大胆な金融政策と機動的な財政政策により、わが国経済は、需給ギャップ縮小によるデフレからの脱却まであと一歩というところまで来た」とアベノミクスを評価し、「日本が次に越えなければならない大きな山は、『成長する経済』への軌道変更」と指摘し、潜在成長率の底上げに向けた「サプライサイド政策」の重要性を強調した。
また、「中小企業の活力強化」と「地域の発展」の2点を今後の活動の柱として活動してく考えを表明。「現場にこそ、生きた課題と知恵がある」とし、引き続き、会員企業と丹念に対話を重ねる「現場主義」と、商工会議所の考え方を一つにまとめる「双方向主義」を同時に実践していく方針を示した。
さらに、中小企業の発展には、多様な人材の活躍が重要と強調。そのためには、「働き方改革」の実践が必要と述べる一方、取り組むに当たっては、大胆さと現実性のバランスが重要と指摘した。また、生産性向上に向け、経営者の意識を高め、ICTだけでなく、デジタル技術やAIの導入、ロボットの活用などが必要と語った。後継者不足に対しては、商工会議所として、積極的に事業承継の支援を行っていくとともに、事業承継税制の見直しに取り組んでいく考えを示した。
地方創生の実現に向けては、地域資源の活用が不可欠と主張。観光産業は、「担い手の大半が中小企業の一大産業」とし、「見落としている地域の自然や伝統文化などを掘り起こして磨き上げ、ストーリーをつけて売り出し、地域を挙げておもてなしをする持続的な取り組みを一層加速していくことが必要」と述べた。加えて、整備新幹線や高規格道路、港湾の整備など、観光客の増加、設備投資の促進、雇用創出などに大きく寄与するストック効果の高い社会資本整備を要望していく方針を示した。
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