宿場町として栄えた、ホスピタリティのあるまち
北上市は人口9万人を擁する東北有数の工業都市だ。岩手県のほぼ中央に位置し、古くは北上川舟運の河川商港や宿場町として栄えたことでも知られている。かつて仙台藩と南部藩の境にあったため南北に奥州街道、東西に平和街道が走っており、宿場町として発展した。寛永年間(1624~43)には舟運がスタート。北上の河港は北上川最大の港で、北上~盛岡間を結ぶ小型の小操船と、北上~石巻間を結ぶ大型の艜船の積荷を入れ替える重要な中継点としても発展した。しかし明治以降、北上川舟運は鉄道にその役割を譲ることになる。 現在は、東北有数の工業都市として知られる北上市だが、当時は産業に乏しいまちだった。そのため、企業を誘致し、産業と雇用を生むことが大きな課題だった。そこで昭和初期に黒沢尻町(現・北上市)は岩手県に対し、工業高校の設置を陳情。町は当時の歳出額の約2倍に当たる費用を負担し、昭和14年に黒沢尻工業高校を開校。28年には「工場誘致推進協議会」を結成するなど企業誘致を積極的に進めてきた。今の姿はこのような積極的な取り組みの成果といえるだろう。
最新号を紙面で読める!