私は、将棋の羽生善治九段(「十九世名人」称号資格保持者=原則として就位は引退後)と共著で、2013年に『勉強について、私たちの考え方と方法』(PHP研究所)という本を出しました。彼はまれに見る明晰(めいせき)な頭脳の持ち主であり、対談しても非常に楽しかったので、それ以来、ファンの一人として彼の対戦や発言が気になります。プロの棋士とビジネスマン。生きる世界は全く異なりますが、その覚悟は同じなのだと、彼の言葉で感銘を受けたことがあります。
「〝自分の得意な形に逃げない〟ということを心掛けている。得意な形にすると、相手に研究されて負けにつながる。得意は捨てる。築き上げたものを捨てなくては勝てないし、たとえ勝てたとしても良い将棋は残せない。変えることは私にとって大きなリスクであるが、積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にする」
私たちも、こういう覚悟でいたいものです。そうでなければ、この厳しい時代に生き残っていくことはできません。今は10年ひと昔ではなく、3年ひと昔の時代。変化のスピードが激変しています。過去の成功体験にこだわらず、今を見つめて変わろうと努めてください。
私の予測では、東京五輪をきっかけに人々の心は団結し、日本回帰します。そして、ライフスタイルは、21年から23年の間にカジュアル化していきます。
経済的変化としては、トランプ米大統領は再選を望んでいるため、20年10月頃まで米国の株価は下がらないと思われますが、無理に維持した後、同年12月から21年7月にかけて暴落する可能性があります。米国の株が大きく下がることと、東京五輪後に公共事業が減ることが重なり、日本の景気は悪くなります。それでも、3000万人のインバウンド(訪日外国人客)が続けばいいのですが、世界の人々が、いつまで日本に興味を持ち続けてくれるかは分かりません。もし、訪日外国人客数が2000万人や1500万人にまで減った場合は、一気に不景気がやって来ます。
大きな時流としては26年頃、中国のGDPが米国を超えると予測しています。その場合、21年から30年までの間に、経済覇権が徐々に中国に移り、世界中が中国から大きな経済的影響を受けます。象徴的な出来事として、強烈なドル安が起こると思います。
私たちは、このような激変の時代に生きています。21年が、いろいろなことの変わるターニングポイントです。しっかり準備しておかないと、今の業績を維持できなくなります。未来のリスクを最小限にするために、皆さんも変わる準備をなさってください。
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