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コラム石垣 2017年12月11日号 宇津井輝史

いまから6500万年前、地球上から恐竜が突然消えた。原因は長く科学界の謎とされ、諸説交錯した。絶滅が、巨大隕石の衝突によると断定したのは米国の物理学者アルバレス父子だった。1979年、絶滅した白亜紀の地層から多量のイリジウムを検出し、直径10キロと推定される隕石の衝突を裏付けた。

▼衝突でできた痕跡が中米ユカタン半島で見つかったのは1991年のことだ。このチチュブクレーターから、隕石は2500億トンと推定された。衝突で舞い上がった粉塵が太陽光を遮り、地球が急速に寒冷化して恐竜をはじめ75%以上の生物が絶滅したとされる。

▼だが先月、墜ちた場所が別ならこうはならなかったと、東北大などの研究者が新たな分析結果を発表した。落下点が数百キロずれ、有機物が多く含まれない地層だったら長期間の太陽光遮断はなく、恐竜はいまも地球上に君臨していたとの新説である。

▼恐竜たちは1億6000万年にわたって繁栄した。哺乳類と違って代謝率が低くエネルギーを浪費しない。その恐竜の存在を人類が知ったのは1820年代のことだ。もし恐竜がいまも繁栄していたら、哺乳類の時代はなく、人類の登場もなかったことになる。爬虫類が築く文明は果たしてどんなものだったか。

▼人類が登場したあとの400万年という時間は恐竜たちに比べてあまりに短い。文明史の数千年など地史のスケールでは一瞬に過ぎない。それなのにヒトは、いまやすべての生態系を破壊しうる「神」のごとき立場に立つ。

▼生物としての進化の過程を省略した人類は、羽根も生やさずに文明の力で空を飛び、生命操作など神の領域に踏み込む。偶然のごとく生まれた私たちはいつかブレーキを踏むだろうか。

(文章ラボ主宰・宇津井輝史)

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