政府は昨年12月16日、「『経済の好循環』の実現に向けた中小企業経営者との懇談会」を開催(写真)。政府からは安倍晋三内閣総理大臣、菅義偉官房長官、田村憲久厚生労働大臣、茂木敏充経済産業大臣、古川禎久財務副大臣、西村康稔内閣府副大臣が出席。商工会議所からは、大分商工会議所の姫野晴高会頭(桃太郎海苔社長)と東京商工会議所の阿部貴明墨田支部会長(丸源飲料工業社長)が参加し、意見を陳述した。
姫野会頭は、好循環を実現するために〝賃上げ〟の必要性に理解を示すとともに、賃上げのためにはデフレを脱却し、「消費が拡大に向かうという実感を経営者が持てるようにすることが重要」と指摘。「特効薬としてさらなる中小企業施策が必要」との考えを示した。
阿部会長は、「人材の成長以上に会社が成長することはない」と指摘。「経済の好循環を実現するためには、短期的にも、長期的にも〝人〟に投資し続けることが重要」と述べ、賃上げや人事制度の充実などの待遇改善の重要性を強調した。
これらの発言を受けて安倍総理は、「三本の矢によって経済情勢を改善し、経営者が力を発揮できる環境をつくることが政治の責任」と発言。景気回復の実感が大手企業や一部の地域から広がっていないという声に対しては、「中小企業・小規模事業者や、地域の隅々まで景気回復の実感を行き渡らせていくことがわれわれの使命」と語った。さらに、雇用の3分の2を占める中小企業・小規模事業者において、「収益の向上と賃上げの好循環を実現することが決定的に重要」との考えを示した。その上で、政府として、「ものづくり補助金や設備投資を後押しする税制の拡充などの支援策に全力で取り組むとともに、政労使会議などの場を活用しながら賃上げや関連中小企業との取引条件の改善などを要請していく。また、消費税転嫁について最終消費者である国民の理解を求めるメッセージを発信する」と述べた。
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