コラム石垣 2014年1月21日号 中山文麿

日本の高等教育に変化の兆しがみられる。従前、企業は新卒を一括採用して戦略的に社内教育を行ってきた。それは、あたかも真っ白な黒板に字を書くようなもので、社是や業務知識などを新入社員に叩き込んできたのである。

▼しかし、企業は失われた20年を通して人事部の子会社化や、研修などに関する業務を外部発注してきた。また、国際取引を行う企業はダイバーシティー経営のもと、外国人を積極的に採用し始めた。

▼大学も企業の動きを踏まえてグローバル化に対応した人材を育むような教育にかじをきった。例えば、これまで日本では少なかったディベート科目などを取り入れる大学も増えてきている。政府でも新しい教育政策として来年度からスーパーグローバル大学30校を選定して支援する予定である。

▼秋田県にある公立国際教養大学はこの動きを先取りしている。教員の半数は外国人で、授業は全て英語で行われている。また、一年生は全員大学の寮に入り、海外からの留学生と同室になる。そこでは嫌でも英語で話さなければならない。

▼昨年、東京大学は大規模公開オンライン授業を行うコーセラ社(米国)の「ムーク」に参入し、2つの講座を配信した。そのうちの一つが藤原帰一教授の「戦争と平和の条件」だ。この講義を158の国・地域から3万2000人が受講した。大学も「知の情報」を、世界に向けて発信し始めた。

▼これからはさまざまな特色を有した大学が求められる。受験生は将来の仕事をイメージしながらシラバスを比較検討して、どの大学に行くかを決めてもらいたい。このような姿勢や大学の変化は、日本が光り輝く国になるために必要な人的資源を蓄積していく一里塚となる。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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