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伝えていきたい日本の技 鈴鹿墨

進誠堂 (三重県鈴鹿市)

濃くすると黒色、水で希釈するとそれぞれの色が表れる色墨。色からイメージした文字と絵が墨の表と裏に刻まれている 撮影:加藤正博

今月は、国から墨として唯一伝統的工芸品に指定されている、鈴鹿市の墨をご紹介します。

鈴鹿墨の発祥は奈良時代末期から平安時代初期ごろとされており、自生する肥松(こえまつ・樹脂を多く含む松)を燃やしてとれた煤(すす)が原料となっています。この地は水質が弱アルカリ性であったため、原材料の一つであるニカワの凝固力と粘りを製墨に最適の状態にできたことなど地理的な諸条件に恵まれ、上質な墨が生産されてきました。発色の美しさや上品さから、諸大名の家紋を書くための墨として用いられていたといいます。

現在では、鈴鹿墨をつくっているのは創業70年の進誠堂のみとなりました。だからこそ、墨の良さを広めようと、墨染めによる革製品や墨の香りの線香などを開発し、多くのバリエーションを生み出しています。中でも墨業界で初めて考案されたという色墨は、濃度の調整や色の混ぜ合わせにより、多彩な表現を可能にしたことで知られています。

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