日本商工会議所は5月31日、5月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。5月の全産業合計の業況DIは、マイナス16・2と、前月からプラス1・1ポイントの改善となった。調査期間は5月16~22日。全国424商工会議所が3456企業にヒアリングした。
調査結果では、インバウンドを含めゴールデンウイークの好調な観光需要からサービス業の業況感が改善した。また、電子部品、自動車関連の堅調な生産・輸出や、建設・設備投資の底堅い推移から、関連商品を扱う卸売業の業況改善を指摘する声が聞かれた。一方、日商では「『悪化』から『不変』への変化が押し上げ要因となったことに留意が必要」と指摘。また、「消費者の節約志向や人手不足の影響拡大、原材料・燃料の値上がりが依然として、中小企業のマインドに影響を及ぼしており、業況改善に向けた動きは力強さを欠いている」と分析している。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス15・9(5月比プラス0・3ポイント)とほぼ横ばいを見込む。インバウンドを含む消費や輸出の拡大に期待する声が聞かれる。他方、消費の一段の悪化、人手不足の影響拡大、原材料・燃料価格の上昇、地政学的リスクなど、先行きの懸念材料を指摘する声は多く、中小企業の業況感は足踏みが続く見通しだ。
ヒアリングした企業からは、「技術者不足のため、受注したくてもできない状況が続いている。下請け業者も同様に人手不足が深刻なため、工程の遅延は避けられない」(一般工事)、「輸出は引き続き堅調に推移しているため、売り上げは良いが、戦争やテロなどの地政学的リスクに伴う為替変動が不安材料」(自動車部品製造)、「新たなドライバーの採用が難しいため、従業員の離職防止に努めており、賃金や福利厚生などの待遇を改善した」(運送)といった声が聞かれた。
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