山口商工会議所青年部(山口YEG)は、毎年8月に行われる伝統の祭り「山口七夕ちょうちんまつり」に使われるちょうちんを竹ざおに取り付けた「竹竿ちょうちん」を、山口市内の小学校31校に飾る「未来へつなぐちょうちんプロジェクト」を実施した。祭りは今年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止となったため、子どもたちに、「祭りの気分だけでも味わってほしい」と実施したもの。7月初旬に同YEGメンバーが各校を回り、飾り付けを行った。
「山口七夕ちょうちんまつり」は、室町時代に山口を治めた大内氏が盆の夜に先祖の冥福を祈るため笹竹の高灯籠(とうろう)に火をともしたのが始まりとされている。毎年8月6、7日の2日間、明かりをともした約2万個の赤いちょうちんが山口市の中心市街地を彩り、「提灯神輿(ちょうちんみこし)」や「提灯山笠」の巡行をはじめ、さまざまなイベントが行われる。
例年、10万人が訪れる一大イベントだが、今回は新型コロナウイルス感染防止の観点から中止となり、祭りの運営に携わる同YEGは子どもたちの思い出づくりをしようと、出番のなくなったちょうちんで小学校を飾ることを企画した。
同YEGは、ちょうちん15個をつるした竹竿ちょうちんを、3日間で各校に2本ずつ配るとともに、1000個の白いちょうちんを用意。子どもたちに将来の夢や願い事、1年後の自分への約束などを書いてもらい、来年の祭り会場で披露することとした。また、祭りの由来や歴史を記載したチラシも配布した。児童らは、興味津々で飾り付けの様子に見入っていた。
同YEGの重政一慶会長は、「子どもたちのために何かできないかと考えた。祭りのことを知らない子どももいるので、興味を持ってもらい、来年はぜひ会場で楽しんでもらいたい」と話している。学校関係者は、「子どもたちが故郷の文化を身近に感じる機会になれば」と同事業を歓迎した。
竹竿ちょうちんは、約1カ月間、各校に飾られた。
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