日本商工会議所はこのほど、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果とともに、「2016年度の所定内賃金の動向」および「経営上望ましい為替水準」について、全国の中小企業にヒアリグした結果を発表した。
2016年度に「賃金の引き上げを実施した(予定含む)」企業(全産業)は54・9%と、2015年6月調査と比べ、ほぼ同水準。他方、「現時点では未定」は23・0%と5・1ポイント減少し、「見送る」は、22・1%と4・3ポイント増加した。
ヒアリングした中小企業からは、「従業員のモチベーションの向上のためにベースアップを実施し、さらに人材の定着を目的に工場内の空調整備など、職場環境の改善にも努めている」(自動車部品製造)といった賃金引き上げに前向きな意見が聞かれる一方、「従業員の定着を目的に他社以上に賃金を引き上げたいが、夏物衣料の売上が伸び悩んでいるため、賃上げを躊躇(ちゅうちょ)している」(衣料品卸売)、「昨年は外国人旅行客により収益を確保できたため、賃上げを実施。今期は円高に伴い外国人旅行客が減少しており、先行きに不安があるため賃上げを見送る」(ホテル)といった慎重な意見も寄せられた。
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