日本商工会議所は17日、東京商工会議所ビルで日本労働組合総連合会(連合)との懇談会を開催した。会合では、日商側から「法人実効税率引き下げ」「政府の社会保障改革と企業負担」「電力・エネルギー」などわが国が直面している課題について意見表明。連合側からは、「中小企業の生産性向上と人への投資」「経済の好循環の実現と中小企業の取引適正化」「中小企業の雇用のミスマッチ解消」などについての考えが示された。
懇談会には、日商から、三村会頭をはじめ、岡谷篤一副会頭(名古屋・会頭)、立石義雄副会頭(京都・会頭)、高向巖副会頭(札幌・会頭)、竹﨑克彦副会頭(高松・会頭)、田中常雅特別顧問(東京・副会頭)、西村貞一中小企業委員長(大阪・副会頭)ら幹部14人が出席。連合側からは、古賀伸明会長ら16人が出席した。
冒頭、あいさつした連合の古賀会長は、女性、高齢者、若者など「多様な労働者の働きやすい環境整備と人への投資を通じた生産性向上が重要」と述べるとともに、中小企業の取引関係の適正化について触れ、連合としても、消費増税分の価格転嫁対策に取り組む考えを示した。
続いてあいさつした三村会頭は、経済の好循環実現のためにも、消費増税に対応した円滑な価格転嫁対策や中小企業の発展と地域再生のための的を射た支援策の必要性を強調。日本の潜在成長率引き上げに向けては、「国内の資本備蓄」「労働人口」「生産性」を向上させていく必要があるとの考えを示した。
意見交換では、日商側から、岡谷副会頭が、競争力強化の観点から、「法人実効税率を20%台前半まで引き下げるべき」との意見を表明。立石副会頭は、高齢者に手厚すぎる現行の社会保障制度の重点化・効率化を軸とした改革の徹底の必要性を強調した。西村中小企業委員長は、エネルギー問題について、「安価で安定的な電力の確保を最優先の政策とすべき」との考えを示した。
三村会頭は、議論の総括として、経済の好循環の実現や中小企業への支援などについて、認識を共有できたことを評価。「細かなスタンスの相違はあるが、共通の認識を持っている点も多かった」とコメントし、会議を締めくくった。
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