日本商工会議所では、5月28日に日本経済団体連合会、経済同友会と3団体連名で取りまとめた「エネルギー問題に関する緊急提言」の実現に向け、関係閣僚・与党幹部らに直接面会して政府が6月に策定する経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に反映してもらうよう、働きかけを強めている。6月2日には鳥原光憲・日商特別顧問(東京・副会頭)らが石原伸晃環境大臣に、同4日には大橋忠晴・日商副会頭(神戸・会頭)らが茂木敏充経済産業大臣に提言書を直接手渡し、原発の再稼働プロセスの加速と、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)と地球温暖化対策税の抜本的な見直しを強く求めた。今後、安倍晋三首相にも面会を求め、提言内容の実現を働き掛ける。
「電力安定」最優先に
日商など経済3団体は、共同で取りまとめた緊急提言の実現に向け、石井啓一・公明党政調会長(5月28日)を皮切りに、細田博之・自由民主党幹事長代行(5月29日)、石原伸晃環境大臣、高市早苗・自由民主党政調会長(6月2日)、茂木敏充経済産業大臣(6月4日)、山口那津男・公明党代表、甘利明経済財政担当大臣(6月5日)ら主要閣僚や与党首脳に面会を求め、精力的に働きかけを続けている。
2日に石原環境相に陳情した鳥原・日商特別顧問は、商工会議所会員の中小企業から寄せられている声とともに提言内容を説明。石原大臣は「(経済界の意向は)理解している」と述べ、原子力規制委員会の人員体制強化の必要性に言及した。
4日に茂木経産相に面会した大橋・日商副会頭は、高騰している電力料金やエネルギーコストの低減に向けた取り組み強化を要望。茂木大臣は「政府としてもコスト抑制の対策を打つ」と述べ、提言に理解を示した。
提言書では、震災後、電気料金・エネルギーコストの高騰や供給不安が新たな投資や雇用の拡大を阻害していると指摘。「このままでは、持続的な経済成長実現が困難になる」との強い懸念を示した。また、「低廉・安定的な電力供給の早期回復」を最重要・最優先課題と位置付け、原発の再稼働プロセスの加速化や、FITと温暖化対策税により増大している国民負担軽減などを盛り込んだ。
FITについては、導入3年目の賦課金総額がすでに約6500億円に達しており、国民負担の増大と長期化に危機感を表明。買取価格の引き下げ、国民負担の上限設定、研究開発に関するインセンティブ付与など抜本的な見直しを求めた。
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