日本商工会議所は2月29日、2月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。2月の全産業合計の業況DIは、マイナス22・8と、前月からマイナス3・4ポイントの悪化。好調な観光関連産業が全体をけん引しているものの、消費低迷、人手不足、人件費の上昇などが影響し、業況悪化につながった。調査期間は2月15~19日。全国422商工会議所が2959企業にヒアリングした。
日商では調査結果について、「観光需要によるけん引のほか、原油安に伴い、原材料価格や燃料費、電力料金の下落の恩恵を指摘する声が聞かれたものの、人手不足と人件費の上昇が足かせとなる中、消費低迷や中国経済減速による受注減などが全体を押し下げた」と分析している。また、株価・為替の不安定な推移も中小企業のマインドを下押ししており、昨年秋ごろから足踏み状況が続いていたが、足元では弱い動きが見られている。
業種別に見ると、建設業からは、「人件費の上昇が続く」(一般工事)、製造業からは、「新興国向けの受注低迷が続く」(産業用機械製造)との声が聞かれた。
卸売業からは、「製造業からの引き合いが鈍く、在庫が積み上がっている」(衛生管理用品卸売)、小売業からは、「必要なものしか買わない消費者が一段と増えている」(総合スーパー)との懸念が寄せられた。サービス業からは、「時給を引き上げて採用募集をしているが、応募が少ない」(人材派遣)との声が聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス18・2(今月比プラス4・6ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因。観光需要の拡大や設備投資の持ち直し、補正予算の早期執行への期待感のほか、燃料費や電力料金の下落により収益改善を見込む声が聞かれる。他方、日商では、「新興国経済の減速や株価・為替の不安定な推移、マイナス金利導入の影響などにより、先行きの不透明感が増す中、中小企業においては、消費低迷の長期化や人手不足の影響拡大などへの懸念を払拭(ふっしょく)できず、慎重な見方を崩していない」とみている。
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