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困ったときの下請かけこみ寺 -相談事例別アドバイス6-

このコーナーでは、下請取引に関する「かけこみ寺」に相談があった事例を参考に、中小企業の取引上のトラブルや疑問点の解決の基本的な考え方や留意点を解説します。今回は「下請代金支払遅延等防止法(下請法)関係」の「実験費用の負担」についての相談事例をご紹介します。

費用の扱いを明らかにする必要あり

Q. A社(資本金2億円)は、B社(資本金10億円)からの発注に応じて真空装置の試作と量産を行っています。試作品の発注を受ける前に、B社の要望により、類似した実験を行うことがあります。その実験の結果が良ければ試作品の発注となりますが、発注前に実験経費のいくらかでも取引先に負担してもらうことはできないでしょうか。

A. A社とB社の取引(試作品の発注)は「製造委託」に該当します。B社の資本金は3億円を超え、A社の資本金は3億円以下であることから、下請法の資本金基準(3億円)を満たしており、下請法が適用されます。

本事例では、試作品の発注を受ける前の実験段階です。試作品の発注に関しては、コンペなどのように、最も良い提案を行った事業者と契約を締結することを前提に費用負担を明示した上で行う場合とは異なり、試作品の発注などを前提として、親事業者が自己のために発注前の実験を無償で行わせることは、下請法の「不当な経済上の利益提供の禁止」(法4条2項3号)に該当する恐れがあります。

最も良い方法は、B社と契約を結び、実験に要した費用の扱いを明らかにすることです。それが難しい場合は、これ以上継続すると費用がかさむ、あるいはリスクが急増するという段階で、B社に対し、正式な発注を行ってもらうよう申し出ることなどが考えられます。

親事業者から試作品のための実験を求められた場合、まずは実験に要した費用の扱いだけではなく、実験の結果、特許出願などを行うような成果が現れた場合の権利関係の処理などについて、交渉により取り決めをしておきましょう。すぐに交渉がまとまらない場合は、親事業者の求めにより実験を行っていることを示す証拠や記録を残すこと(例えば、内容確認のFAXを先方に送信し、その結果を記録として保存するなど)が重要です。

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