容器包装リサイクル法(以下容リ法)では、ガラスびん、PETボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装の4素材について「利用・製造等」をする事業者に対してリサイクルの義務を規定している。
ここでの「利用・製造等」とは、容器・包装を利用して食品、清涼飲料、せっけん、医薬品など中身製品を販売する事業者や、小売業で商品を販売する際にレジ袋、紙袋、包紙といった容器・包装を利用する事業者、容器そのものを製造する製造事業者、その他容器包装が付された商品を輸入販売する事業者などを指している。こうした事業に携わっている場合には、リサイクルの義務を負うことになる。
小規模は義務対象外に
しかし、売上高・従業員数が一定規模以下の小規模事業者については、リサイクルの義務対象外となる。企業が複数の事業部門を持つ場合、容器包装を取り扱う部門だけでなく、容器包装を取り扱わない他部門も合わせた会社全体での売上高・従業員数で判断しなければならず注意が必要である。
再商品化義務を果たす方法は3つ規定されている。当協会に申し込みを行う「指定法人ルート」の他にも、「自主回収ルート」と「独自ルート」の義務履行ルートがある。
「自主回収ルート」とは、主に酒類製造業などで申請・認定されているもので、酒造メーカーが酒びんを酒販店経由で回収するようなケースがこれに当たる。「独自ルート」は、全国を対象に独自に自社製品に使用された容器や包装を回収し、リサイクルするものだがこれまで申請された事例はない。再商品化義務を負う特定事業者のほとんどは、協会に再商品化委託申し込みを行う「指定法人ルート」によりその義務を果たしている。
不履行の場合は社名公表も
再商品化義務を果たさない場合は、国(主務大臣)から、指導・助言、勧告、公表、命令、100万円以下の罰金の順を追った措置を受けることとなる。コンプライアンスが叫ばれる中、社名公表などの措置を受けた場合、企業イメージの毀損(きそん)、コンプライアンスを重視する企業からの取引停止などにつながる可能性もあり、その影響は大きい。
また、再商品化義務の履行に時効はなく、過去に申し込みをしていなかった場合に、委託料を平成12年度にまでさかのぼって支払うこともある。
特定事業者が再商品化義務を果たすためには、指定法人であるリサイクル協会と再商品化委託契約を交わし、容器包装廃棄物をリサイクルするための費用となる「再商品化実施委託料」と、市町村に支払われる合理化拠出金の原資となる「拠出委託料」を支払わなければならない。
合理化拠出金は、平成20年4月に、社会全体としてリサイクルの合理化・効率化に取り組むという理念の下に導入された制度である。リサイクルの効率化が図られた場合(当初想定していた費用に比べ実際に掛かった費用が少なければ効率化が図られたとする)、その成果を市町村と事業者の双方で享受するという考え方に基づき、事業者から市町村に資金を拠出する仕組みである。
「再商品化実施委託料」については、平成18年度にはピークとなる480億円(4素材計、精算後の金額)が特定事業者より支払われたが、ここ近年は380億円前後で推移している。
4素材の中でも最も処理コストの大きいプラスチック製容器包装を例に詳しく見ると、その落札単価(再商品化事業者の処理単価、円/トン)は、取り扱いが始まった平成12年度は10万円近かったが、近年は5万円台前半まで下落。入札を通じた競争的な価格形成、リサイクル技術向上への取り組み、ベール(容器包装ごみの束)品質向上などの要因により年々効率化が図られ、処理コストの低減につながっている。(大内博・公益財団法人日本容器包装リサイクル協会企画広報部副部長)
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