理解する早道は計算して書くこと
伯父が税理士事務所を開業していた影響もあり、大学は商学部に進み、そこで簿記に出会いました。入学した大学はもちろん、別の大学でも簿記の講義を受けたところ、どちらの先生のお話も聞いていて非常に楽しくて、それがきっかけで簿記が好きになりました。
講義と並行して徹底的に問題を解く練習もしました。教科書に「問題を繰り返し解くこと」とあったので、それを実践するために同じ教科書を10冊購入し、付属の問題集を10回繰り返して解いたのです。
振り返ると、この時の勉強で簿記の力が付きました。勉強の途中で挫折しないためには、先生の説明を聞いたり教科書を読むだけではなく、「自分で計算して書くこと」、それを繰り返すことです。そうしているうちに簿記が理解できて、面白くなり、やる気が出てきます。
私の場合は、その延長で税理士を目指しました。大学生のころから「中小企業の成長に役立ちたい」という想いを抱いていたこともあり、簿記の知識を活かして23歳で税理士になりました。
経理担当だけのものではない
私が一番申し上げたいことは、「簿記は、企業規模を問わず経営管理の道具であることはもちろん、誰にとっても大切であり、みんなが勉強すべきこと」ということです。「簿記は経理の担当者が知っておくべきこと」という声を聞きますが、決してそうではありません。勤務先が民間企業か公的機関か、企業の規模が大きいか小さいか、あるいは、業種や部署、担当業務に関係なく、お金を管理するために必ず必要な知識であり、社会人としての「必修科目」なのです。皆さん、ぜひ勉強していただきたいと思います。
こう言うと、「私の仕事には簿記は関係がない」と思う方がいるかもしれません。しかし、商売をしていれば、品物をいくらで仕入れ、いくらで売って、どれだけ利益を得られるか、ということを意識していますよね。仕事だけではありません。家計でも、商店街や町内会、飲み会の会計であっても、意識しているかは別にして、あらゆる場面で簿記を使っているのです。誰にとっても簿記は必要な知識であり、少なくとも3級の内容は勉強すべきだと思います。
私は以前、大学で簿記論を教えたことがありました。よく学生から、「社会に出る前に何を勉強したらいいですか」と聞かれて、その時はいつも「簿記、パソコン、英語」の3つを挙げていました。
住みよさナンバーワンの地域に
商工会議所は、簿記検定をはじめとする企業の人材育成支援の他に、創業する方や、海外との貿易や投資を行う企業の取り組みをお手伝いしています。また、地域の活性化に力を入れており、具体的な例としては、平成28年3月に、商店街と連携して、外国人を含む市民が参加する国際音楽祭を初めて開催します。
これは、コンサートホールや音楽大学など地域資源を活用して、商店街やそこにあるお店のことを知っていただくことを目的にした事業です。これからも、商工会議所の取り組みにぜひ注目していただきたいと思います。
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