「容器包装リサイクル法(以下容リ法)」は、日常的に家庭から出されるごみの中でもガラスびんやPETボトル、使用済みのプラスチックや紙製の容器などを対象としたリサイクルを円滑に行うための法律です。ごみの分別など私たちの生活にも密接に関わっている法律ですが、その内容については、あまり知られていません。そこで本稿では、容リ法について、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会の大内博企画広報部副部長から解説します。(全3回予定)
平成7年に公布、平成9年4月から施行された容リ法は、わが国で初めて制定された個別リサイクル法である。ガラスびんとPETボトルを対象にスタートし、平成12年4月からは、紙製容器包装、プラスチック製容器包装が加わり、現在の4素材を対象とする完全施行となった。
容リ法が出来てから20年近くが経った。現在では、自動車、建設資材、食品、家電、小型家電といった個別リサイクル法や、基本理念を示す循環型社会形成推進基本法、資源有効利用促進法などさまざまな関連法規が整備されているが、これらの先駆けとなったのが容リ法である(図)。
消費者にも分別求める
容リ法の目的を一言で言い表せば、「容器包装廃棄物を減らすための役割分担が定められた法律」といえる。役割分担とは、特定事業者(注)は「再商品化(リサイクル)義務」を果たすこと、市町村は「分別収集」すること、消費者は「分別排出」することであり、この3者がそれぞれの役割を果たして初めてリサイクルが成立する。 特に、この法律で特徴的なのは、消費者にも役割を求めていることで、家庭からのごみ出しの際に細かい分別を求めるなど、世界的に見ても例を見ない制度といえる。
家庭ごみの大幅削減に貢献
容器包装リサイクル制度(以下「容リ制度」)導入前のわが国は、大量消費・大量廃棄の時代といわれ、廃棄物の量が急激に増加していた。一方、焼却場や最終処分場(埋立地)の新規設置については、地域住民の反対などもあり非常に難しくなり、不法投棄などの社会問題も顕在化するなど、大量の廃棄物にいかにして対応していくかが大きな課題となっていた。 一般廃棄物(家庭ごみ)の最終処分場(埋立地)について何らかの手を打たなければ、8年程度でまちがごみであふれてしまうという危機的な状況となり、家庭から排出される廃棄物総量の6割(容積比、重量比では2割)を占める容器包装をどのように減らし、再利用していくかが喫緊の課題であった。
こうした中、容リ法が制定され、容リ制度がスタート。事業者、市町村、消費者の3者の協力の下、これまで家庭ごみの削減、資源の有効利用に大きな成果を挙げている。 まず、家庭から排出される生活系ごみの総排出量が大幅に減少。年間5483万トン(平成12年度)から、4487万トン(平成25年度)へと2割近く低下した。これは、容器包装の分別排出をきっかけとした消費者のリサイクル意識の向上や、マイバック運動によるレジ袋の削減、事業者による容器包装の軽量化、環境配慮設計などの取り組みの成果と考えられる。
最終処分量は5割以上減少
また、生活系ごみの総排出量の減少と容器包装リサイクルによるごみの再資源化の結果、一般廃棄物の最終処分量が、年間1051万トン(平成12年度)から454万トン(平成25年度)へと5割以上減少した。最終処分場の残余年数についても、新たな確保が困難な中で、最終処分可能量は年々減少しているにもかかわらず、平成25年度には19・3年まで伸びる(平成7年には8・5年)という大きな成果をもたらしている。
(注)その事業において、容器を利用・製造(輸入を含む)する事業者や、包装を利用する事業者(ただし小規模事業者を除く)
(大内博・公益財団法人日本容器包装リサイクル協会企画広報部副部長)
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