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福島第一原発処理水の処分 国の責任で決定すべき 地元の理解が不可欠

意見陳述する久貝常務理事

経済産業省は9月9日、第6回「多核種除去設備等処理水の取り扱いに係る関係者の意見を伺う場」を開催。日本商工会議所の久貝卓常務理事が出席し、意見を陳述した。

東京電力福島第一原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)などで浄化処理した水については、風評など社会的な影響も含めた総合的な検討を2016年11月よりALPS小委員会において実施。同会合は、20年2月の小委員会の報告を踏まえ、政府としてALPS処理水の取り扱い方針を決定するため、地元自治体や農林水産業者をはじめとした幅広い関係者の意見を聞く場として設けられている。

会合で久貝常務理事は、「震災から9年が経過し、今年は国が10年と定めた復興・創生期間の最終年。足元では、インフラ整備を中心に復興は着実に進んでいるものの、時間の経過とともに被災地域が置かれている状況や直面する課題がさまざまに変化する中で、復興支援ニーズも多面的かつ複雑になっている」と表明。予定されている復興計画が着実に実行され、さらに現在動き出している「福島イノベーション・コースト構想」「国際リニアコライダー構想」などの事業を通じ、福島をはじめとする東北地域の復興が加速していくことに強く期待を寄せた。

また、「原発事故の終息なくして完全な復興はない、福島の完全な再生はないという認識の下、震災発生後から累次にわたり、処理水の処分、中間貯蔵施設の整備促進、原子力損害賠償への迅速・適切な対応について、国や関係機関などに求めてきた」と説明。「福島においては、原発事故に伴い今なお4万人もの住民が避難生活を強いられている。福島の復興・再生を果たすには、原発事故の解決が不可欠。廃炉については、地域住民の理解を得ながら、国主導の下、科学的知見を総動員して事故の収束に全力を尽くすことが必要」との認識を示した。

ALPS小委員会より提示された処理水の処分方法については、地元の理解を得た上で、最終的には国が責任を持って決定すべきとの考えを示した。科学的データの分析を徹底的に行うことは当然不可欠とした上で、地元の商工業者をはじめとした関係者の意見・要望を十分に受け止めながら丁寧かつ粘り強く説明し、地元の理解を得ることが最も重要と強調。「原発事故由来の処理水が放出されれば、今ある風評被害にさらに風評が上乗せされることは必至。福島県内の1次産業を中心とする福島経済に甚大な打撃を与えかねない」と危惧した。

処理水放出により風評被害がさらに発生する懸念については、ALPS小委員会の報告書にも相当程度記載されており、「風評被害の防止・抑制・補てんのための経済対策が必要」とあるものの、その具体的な中身についてはほとんど触れられていないと指摘。特に、処理水放出により風評被害が発生し事業者や住民の金銭所得収入が失われることに関する対策や、損害に対する補償についての言及がほとんど見られないとした。

さらに、地元の事業者は処理水の放出に対し強い不安を持っており、処理水を外に放出すれば風評被害が確実に発生するとの見方に理解を示した。国際的な第三者機関による客観的な安全性の証明および国民への周知などにより、風評の拡大を防ぐ最大限の対策を講じることの必要性に言及。その上で、「そうした努力にもかかわらず処理水放出に伴い風評被害が発生した場合にあらかじめ備えるため、事業者の被害に対する経済的補償のスキームおよび事業者への支援、例えば産品買い取り、事業継続や新商品開発のための支援策などを創設することを国が明確に意思表示することが重要」と述べた。