大分・別府で10月21日開幕
日本商工会議所では、別府商工会議所、大分県商工会議所連合会とともに10月21~23日まで大分県別府市で開催する「全国商工会議所観光振興大会2014㏌べっぷ」への参加を呼び掛けている。申し込み締め切りは8月29日。大会は、2004年に栃木県で初めて開催して以来、全国各地で毎年開いているもので、今年で11回目となる。日商では今年6月に、今後3年間に「商工会議所観光ネットワーク」(CCI観光NET)の構築を目指して、全国514の商工会議所が取り組みを強化する「観光立地域」アピールを全会一致で採択。今回の観光振興大会は、そのキックオフイベントとなる。特集では、地域の観光振興の先頭を引っ張る全国514商工会議所のトップ、観光担当者が一堂に会する大分・別府大会の概要を紹介する。
514地域の総力結集
政府は昨年6月、日本再興戦略において、観光による地域の自律的発展の推進という方針を決め、オリンピック・パラリンピックの東京開催を念頭に、2020年までに訪日外国人旅行者を現在の約2倍に当たる2000万人にするという目標を掲げた。観光に取り組もうという機運が高まりつつある今こそ、官民が連携して、多様な事業者や住民などの参加による総合的な観光振興に取り組む必要性が高まっている。 日商の「観光立地域」アピールでは、今後3年間で、514全ての商工会議所が連携して観光振興に積極的に取り組み、中小企業の再生と地域経済の活性化を図ることを目指すことを高らかに宣言。観光振興は、日本の再生に向け、地域経済の好循環を生み出す「その最も有効な方策」との考えを前面に打ち出した。
また、まちづくりと一体となった「観光立地域」の実現や、地域の多様なプレーヤーを仲介するコーディネーターとしての役割を担う、商工会議所自体の推進体制整備を提言。具体的には、①商工会議所に「観光委員会」や「観光部会」を設け、観光推進の中核とするほか、必ず事務局に観光担当を置く。②都道府県単位で定期的な観光に関する情報交換・意見交換を行う。③「日商観光委員会・観光専門委員会」「各地商工会議所観光委員会」「各地商工会議所観光担当」のネットワークを構築していくことが盛り込まれた。
各地商工会議所の動きは素早い。すでに全国514商工会議所のうち、508商工会議所の事務局に観光担当者が置かれている。
広域連携へ絶好の機会
観光振興の取り組みを促進するための人材の協力・活用に向けて、商工会議所会頭など地域のリーダーが中心になることで、関係者の協力が得やすく、地域一丸となった取り組みが推進しやすくなる。資源の発掘、磨き上げや、関係者の連携構築などを一人で行うことのできる人材を確保することは困難であるが、複数の中核的人材の発掘、外部専門家の招へいなどによって、事業の継続的な実施が可能となる。
また、産学連携などによる将来の地域の観光振興・観光産業を担う人材の発掘や取り込み・育成、現場の観光産業関係者などの人材の養成を目的とした教育研修の実施など、計画的な取り組みも求められている。今回の別府大会のテーマは、「地域を磨く人の育て方」。まさに、まちづくり、人づくりの中核を担う全国の商工会議所が、各地域の「観光立地域」を実現し、そのネットワークにより、「観光立国」につなげていくための絶好の機会となる。
単独の地域による観光振興は、人的・資金的な制約などから持続的な取り組みが困難な場合がある。観光客の関心の対象地域が行政区域と一致しているとも限らない。商工会義所がコーディネーターの機能を果たし、近隣都市や共通の文化、産業などを有する地域との連携を構築することも求められている。 日商が提言している「観光トライアングル」の形成もその一つ。ゴールデンルート(東京‐大阪間)に見られるような2地点間での観光ルートを、3地点にした「観光トライアングル」の形成によって、新たな観光の展開が期待できる。
3つの地域をつなげることで、滞在時間の延長を図り、各地域間での観光客の送客による来訪者も増大。商工会議所が、行政区域の垣根を越えて連携を推進することで、新たな観光ルートの開発が可能となる。各地商工会議所のトップが集う別府大会では、この観光トライアングルの形成に向けた動きも加速させる。
大会テーマ 地域を磨く人の育て方 ~オンリーワンの地域づくりが豊かな観光地を育む~
エクスカーションも充実 魅力満載の全11コース
大分・別府大会のテーマは「地域を磨く人の育て方~オンリーワンの地域づくりが豊かな観光地を育む~」。本大会では、由布院・玉の湯旅館の溝口薫平氏が基調講演で、観光地づくりの先駆的な取り組みで知られる由布院の地域磨きの秘訣を紹介。パネルディスカッションと分科会では、「自然」「まち」「文化」「人材育成」の切り口から着地型観光のあり方を掘り下げる。また、きらり輝き観光振興大賞の表彰式や先進事例の紹介も行われる予定だ。
エクスカーションでは、大分県内を巡る11コースを用意。どのコースも、豊かな地域資源の魅力を満喫できる内容となっている。
日商では、各地商工会議所を通じて、観光関連部会・委員会・観光関連産業の会員をはじめ、関係団体・自治体に広く参加を呼び掛けている。大分・別府大会をステップに「商工会議所観光ネットワーク」(CCI観光NET)構築の動きを加速させていきたい考えだ。
すでに47都道府県から800人以上の参加申し込みが相次ぐなど、各地の観光振興への関心は高い。全国の商工会議所関係者が一堂に会するまたとない機会。日商では514全ての商工会議所の参加を目指して、粘り強く働き掛けを行うことにしている。
全国商工会議所観光振興大会㏌べっぷ大会 公式サイト・大会参加申し込み http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=34999
10/22(水)・10/23(木) エクスカーション
1泊2日コース
コースA 大分・別府 物語のあるまちをガイドと歩く
関あじ・関さばで有名な漁師町・佐賀関の歴史あるまちなみを堪能するガイドツアーをはじめ、大分市・別府市の人気観光地をめぐり、場所の持つ魅力を磨き伝える人に出会うコースです。 歴史をひもとくことによって発見された場所にまつわるストーリーや、地域独自の景観や資源を磨くことによって育まれた観光地の魅力を、地元をこよなく愛するガイドがご案内します。
◎幹事:大分商工会議所、別府商工会議所
コースB 黒田官兵衛ゆかりの地・中津で歴史も自然も満喫!
大河ドラマでおなじみの黒田官兵衛ゆかりの地であり、学問のすゝめで有名な福澤諭吉が幼少期を過ごし勉学に励んだ中津。また、日本最古の五百羅漢が祀られている羅漢寺や自然が育んだ奇岩の連なる絶景で有名な耶馬渓を有する中津。歴史と自然が育んだ豊前海の幸、はも料理等をご堪能ください。
◎幹事:中津商工会議所
コースC 日田・由布院の文化と人に触れる旅
かつて別荘地として栄えた人気の温泉地・由布院と江戸時代に幕府の天領であった日田をめぐります。のどかな田園風景とまち全体がおもてなしの心で溢れる由布院を体験し、豊かな水と自然に育まれた日田で江戸時代から受け継がれる町人文化や職人の技に触れ、地域に根付く景観や文化を活かした観光を満喫してください。
◎幹事:日田商工会議所
コースD 歴史と文学の香り漂う県南周遊コース
国宝・臼杵石仏で知られる臼杵市や、明治の文豪・国木田独歩が寄寓した館の残る歴史と文学の香り漂う佐伯城下町を散策。豊富な知識を持ったガイドによるご案内でお楽しみいただくとともに、歴史的遺産を活用した観光地を訪ねます。
◎幹事:佐伯商工会議所、臼杵商工会議所、津久見商工会議所
コースE 豊後高田・宇佐で温故知新のまちめぐり
豊後高田市の中心商店街が元気だったころの活気を取り戻そうと、地域住民の手によって再生された「昭和の町」をはじめ、国宝・宇佐神宮や国宝・富貴寺、田染荘の田園風景など、既にそこにあるものを活かしながら、地域の方々の力によって生まれた新たなまちの魅力を体験します。
◎幹事:豊後高田商工会議所、宇佐商工会議所
コースF スローフードの里・竹田で心身ともに元気に!
竹田市の地域に伝わる伝統的な食文化やスローフードの推進・普及に取り組む「家庭料理大集合」。竹田市ではスローフードでのおもてなしをたっぷりご堪能いただき、さらに温泉とパワースポットで心身ともに元気になれるコースをご用意しました。
◎幹事:竹田商工会議所
コースG 本気で山歩き!国東半島でトレッキング&アート鑑賞
「国東半島芸術祭」開催中の豊後高田市と国東市をめぐり、アート作品の鑑賞と「六郷満山文化」と呼ばれる独自の山岳仏教を体感するトレッキングを通じ、場所の力をより深く体験していただきます。滑りやすい山道や岩場を歩きますので、トレッキングシューズなどの歩きやすい靴や服装をご準備ください。
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