このコーナーでは、「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」の概要や親事業者・下請事業者の定義、取引の内容、親事業者の義務・禁止事項などを、Q&A方式で解説しています。今回は「受領拒否の禁止」についてご紹介します。
Q 下請事業者へ発注書を交付後、当社の取引先の仕様変更により、製品の発注が不要になってしまいました。下請事業者に問い合わせると、製品はすでに完成していましたが、発注を取り消し、新しい仕様書に基づいた製品を新たに発注しました。この場合は、下請法上で問題となりますか。
A. NG! 受領拒否に当たります 受領拒否とは、「下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと」をいいます。文字どおり、下請事業者が納めた製品を受領しない場合はもちろん、すでに完成しているにもかかわらず、「下請事業者の責めに帰すべき理由」なく納期を延期、もしくは発注を取り消すことによって、発注時に定められた納期に下請事業者が納めた製品の全部、または一部を受け取らない場合も該当します。 このケースのように、発注書の交付後、製品がすでに完成しているにもかかわらず、下請事業者への発注を取り消すことは受領拒否に当たり、認められません。 なお、完成していなくても一方的に発注を取り消すと、「不当な給付内容の変更」に該当することになるため、下請事業者が製品の製造に要した費用を支払う必要があります。納期や数量、代金などについて、下請業者と事前によく協議し、合意した上で発注してください。また、協議の内容なども記録・保存しておくとよいでしょう。
Q 下請事業者に製品を分納で発注し、第1回分が納入されました。しかし、その納入分に不合格品が発生したため、これからの納入分については発注を取り消したいのですが……。
A.NG! 「不当な給付内容の変更」に当たります この場合も、第2回以降の納入分について不合格品が納入された場合でなければ、受領を拒むことはできません。現時点で不合格品が発生することが明らかでない限り、「下請事業者の責めに帰すべき理由」があるとは認められないからです。製品の完成前であっても、第1回納入分の不合格品を理由として発注を取り消すことは、「不当な給付内容の変更」に当たると考えられます。
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