コラム石垣 2020年10月21日号 中山文麿

先月末、トランプ大統領とバイデン前副大統領は1回目の大統領選挙のテレビ討論会を行った。両候補者とも国政の基本政策を論ずることなく相手を口汚くののしり合っただけだった。一方、トランプ氏は新型コロナウイルスに感染し、大多数の国民は彼の行動に対して批判的に見ている。

▼ところで、アメリカにクオータープレジデントという言葉がある。これは投票率が5割程度で、投票した人の過半数、つまり全国民の4分の1の支持が得られれば大統領になれる。トランプ氏は自分を熱狂的に支持してくれたこの4分の1の岩盤支持層が喜ぶ政策は行うが、それ以外の国民には冷淡で、国が分断しても構わないという姿勢だ。

▼今回の大統領選挙の行方を左右する課題が三つある。一つには、新型コロナウイルスに対するトランプ政権の失敗、二つにはそれによって引き起こされた経済の不振、残りは人種問題である。前二者はトランプ氏にとって大打撃である。人種問題は争点をすり替えてニクソン元大統領の「法と秩序」の政策を持ち出し、一定の支持を得ている。

▼コロナ禍もあって今回の選挙では郵便投票が40以上の州で行われる。投票資格を得る登録方法や郵便投票の開票方法など州ごとに異なり、複雑だ。トランプ氏はこの点を突いて、自分がもし負けるようなことがあれば選挙に不正があったとして敗北を認めず、連邦最高裁判所で法廷闘争を行うと公言している。

▼これには、さすがの共和党の一部の重鎮も彼を支持できないとしている。また、前回の大統領選挙では民主党のサンダーズ氏を支持した党員の10%程度がトランプ氏に流れたという分析もある。しかし、今回はそのような事態には陥らないようだ。 (政治経済社会研究所代表・中山文麿)

この記事をシェアする Twitter でツイート Facebook でシェア

次の記事

コラム石垣 2020年11月1日号 神田玲子

NIRA総合研究開発機構理事 神田玲子

米国社会の分断を広げたトランプ大統領。11月3日の大統領選挙で再選されれば、分断はさらに深刻なものとなる。だが、民主党のバイデン候補が勝利し...

前の記事

コラム石垣 2020年10月11日号 中村恒夫

時事総合研究所客員研究員 中村恒夫

「風が吹けば桶屋がもうかるというが、その逆を心配している」と中堅企業の前取締役は懸念を示した。コロナ禍によって、すでにサービス業を中心に...

関連記事

コラム石垣 2022年1月1日号 コラム「石垣」執筆者に聞く 2022年の展望

コラムニスト 宇津井輝史/NIRA総合研究開発機構 理事 神田玲子/観光未来プランナー 文化庁日本遺産審査評価委員 丁野朗/時事総研 客員研究員 中村恒夫/政治経済社会研究所 代表 中山文麿

日本商工会議所100周年を迎える2022年。いまだコロナ禍の収束を見ない中、時代はどう変わるのか。本紙コラム「石垣」執筆者に、今年の日本と世界の...

コラム石垣 2021年12月11日号 神田玲子

NIRA総合研究開発機構理事 神田玲子

先日、久しぶりに友人と会った。先の衆議院選挙について「成長と分配ということだけれど、今更何を言っているのか」と首をかしげた。確かに、成長...

コラム石垣 2021年12月1日号 中山文麿

政治経済社会研究所代表 中山文麿

先月の8~11日、中国共産党の第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が北京で開催され、習近平国家主席の主導の下、共産党の第3回の歴史決議が...

月刊「石垣」

20221月号

特集1
老舗に学ぶ経営哲学 100年企業が守ってきた“わが家の商法”

特集2
新たな波が大きなチャンスになる!地域企業連携で新エネルギーに挑む

最新号を紙面で読める!

詳細を見る

会議所ニュース

月3回発行される新聞で、日商や全国各地の商工会議所の政策提言や事業活動が満載です。

最新号を紙面で読める!

詳細を見る

無料会員登録

簡単な登録で無料会員限定記事をすぐに読めるようになります。

無料会員登録をする