米国社会の分断を広げたトランプ大統領。11月3日の大統領選挙で再選されれば、分断はさらに深刻なものとなる。だが、民主党のバイデン候補が勝利したとしても、この分断を修復することは容易ではない。前回の大統領選挙でトランプ候補を支持した、ラストベルトの人々。そして、民主党の候補者選びでサンダース候補を支持した若者たち―。政治から見放されたと感じている中間層や若者らをどうすれば、政治は包摂することができるのだろうか。その答えはいまだ出されていない。
▼政策を議論する際に基本としてきた三つの対立軸―「保守対革新」「大きな政府対小さな政府」「市場重視対公平重視」―は、もはや有権者を引き付ける有効なツールには成り得ない。特に、この層の人々にとっては、自分たちの生活の見通しが立つのか、将来の夢を追求できるかどうかなどという、目前の課題が重要な関心事だ。また、政府の規模ではなく、国民のニーズに政府が応えてくれるかどうかを見定めたいと思っている。さらに、米国が個人の自由や多様性を尊重する社会になっていくかどうかが、より重要な尺度であるはずだ。
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