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コラム石垣 2020年10月11日号 中村恒夫

「風が吹けば桶屋がもうかるというが、その逆を心配している」と中堅企業の前取締役は懸念を示した。コロナ禍によって、すでにサービス業を中心に人員圧縮の動きが出ている。同様に事業が縮小していけば、納入する機器の売り上げが減少し、機器製造に関わる中堅・中小企業の業績に影響を及ぼしかねない。在宅勤務やテレワークの拡大は働き方の多様化につながるものとして、評価されるべきだろう。一方で企業経営の観点から見ると「オフィス需要の低下、交通費の削減にとどまらず、さまざまな納入品が減少し、最後は下請け企業に波及する恐れが強い」というのだ。

▼日々の売り上げが業績に直結するサービス業に比べ、発注から納期まで一定の時間がかかる製造業は、業績への影響が遅れて出てくる。この間、経営者が新たな取引先開拓に努めても、好ましい結果が出るのは容易でない。売り上げが落ち込んだからといって製造設備の廃棄や担当部署の人員を減らしていては、長い年月をかけて培ってきた技術を継承できなくなってしまう。

▼デジタルトランスフォーメーション(DX)自体は時代の流れだ。業績悪化が目に見えやすいサービス業だけでなく、業種や企業規模を超えて、コロナ禍やDX進行による負の側面にも配慮した取り組みが、産業界全体に望まれる。

▼菅義偉首相率いる新政権は、デジタル化の推進や行政改革を通じた規制緩和に取り組む姿勢を強調している。従来、なかなか進捗(しんちょく)しなかった課題であり、その成果に期待したい。一連の改革に当たっては、日本の技術基盤を支えてきた中堅・中小企業にとっても、新たなビジネス機会を生むものであるように検討すべきだと考える。

(時事総合研究所客員研究員・中村恒夫)

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