政府は6日に第2回、13日に第3回成長戦略会議を首相官邸で開催。両会議に日本商工会議所の三村明夫会頭が出席した。
同会議は、議長を加藤勝信内閣官房長官、副議長を西村康稔経済再生担当大臣および梶山弘志経済産業大臣が務める。
第2回会合には小泉進次郎環境大臣も出席。ポストコロナの社会像、2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長について議論した。
三村会頭は、「菅総理が原子力政策もしっかり進めながら50年カーボンニュートラルを目指すと宣言されたことは、この問題に政府自ら真剣に取り組む姿勢を示されたもの」と評価。その上で、「カーボンニュートラルを考えるに当たり、第1にエネルギー政策の基本である『3E+S』をしっかりと踏まえる必要がある。第2にエネルギーにはそれぞれ長所と短所がある。民間の投資だけでは困難であり、政府が国家プロジェクトとして取り組み、国主導の下、官民一体でグリーン・イノベーションの実用化を図るべき。第3にコロナによって生活様式が大きく変わり、またデジタル技術の普及、省エネが進展するなど、エネルギー需要サイドの動向の分析も重要」と述べた。また、政府が前面に立ち、核燃料サイクル、放射性廃棄物の処理を含め、原発政策を大きく前進させることに期待を寄せた。
第3回会合には田村憲久厚生労働大臣も参加した。議事は、①ウィズコロナ、ポストコロナの世界に向けた事業再構築②労働移動の円滑化③サプライチェーン④新しい働き方の課題。
三村会頭は、コロナ禍を踏まえた事業の再構築について、政府の支援策に関し、これまでの緊急対応から事業再構築に取り組む企業の支援へと移行する方向性に賛同しながらも、「今はまだ、緊急対応により中小企業に、経済が回復するまでの時間と、意欲ある事業者が商品やサービスを見直し、ビジネスモデルを転換したり、あるいはM&Aなどの事業再構築に取り組んだり、自らを変革するための時間を与えることが重要である。同時に、その間、変革に挑む事業者の取り組みを力強く支援していく必要がある」との認識を示した。中小企業におけるM&Aによる事業再構築のポテンシャルは予想以上に大きいものといえることから、中小企業にとってまだハードルが高いM&Aに対する支援策を拡充し、後押しする必要性を説いた。
また、労働移動の円滑化について、「足元では、雇用調整助成金の特例措置の延長を強く望む声が全国から寄せられており、12月末までの現行の措置を少なくとも3月末まで延長してほしい」と要望。「失業なき労働移動」こそが重要との考えを示すとともに、在籍型出向のあっせんも行う「産業雇用安定センター」のマッチング機能などの強化・拡充を求めた。
最新号を紙面で読める!