日本商工会議所の三村明夫会頭は1日、日本経済団体連合会の古賀信行審議員会議長と経済同友会の櫻田謙悟代表幹事と共に、西村康稔経済再生担当大臣とテレビ会議を開催し、意見交換を行った。
西村大臣は、「新型コロナウイルスの新規感染者数が高い水準で推移し、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している地域も出ており、強い危機感を持って対応している。人と人との接触を減らす必要がある段階となっているため、テレワークを引き続き推進していただきたい。感染リスクの低い行動・活動であっても、感染状況が一定のレベルにきた場合には、一定の制約をかけざるを得ない」との認識を示した。その上で、テレワークは新たな日常の一つの象徴であり、多様な働き方の社会の実現に向けて、IT導入補助金などを通じた支援を表明し、取り組み強化を求めた。
この3週間の集中的な取り組み強化で感染拡大を抑えるため、改めて3点を要請した。①体調の悪い人は出勤させず、必要に応じて受検いただきたい。②感染リスクの高まる五つの場面、特に居場所の切り替わりに注意いただきたい。年末年始にかけて会食の機会も増えると思うが、話すときのマスク着用や斜め向かいに座るなどの対策をお願いしたい。③若者は軽症状・無症状の人も多いので、若い社員への呼び掛けをお願いしたい。
経済対策については、7~9月のGDPギャップは34兆円程度となっているが、デフレには戻さず成長軌道に戻すべく、感染拡大などの下振れリスクに備えた経済対策の取りまとめを行うとの考えを示した。「雇用・事業を支えつつ、デジタル化やグリーン化などの分野で、民間からも投資を引き出せるように、税制や規制改革などを総動員した政策を取りまとめたい。感染拡大を抑え、経済活動との両立を図っていきたい」と述べた。
三村会頭は、「西村大臣からの要請のとおり、職場での感染防止対策の強化、ガイドラインの徹底などについて、改めて事業者に協力を求めたい」と応じた。「中小企業の足元の状況として、飲食・サービス業からは、予約キャンセルが急増し、法人需要がなくなり、新規予約も入らない。年末年始の売り上げが見込めず、年を越せないとの悲鳴が上がっており、追加融資やリスケの金融相談が増えている」とし、厳しい事業者の実情に最大限配慮したさらなる金融支援や、雇用調整助成金の特例延長の確実な実施を求めた。「現在は感染拡大を抑えることに注力するときだが、感染拡大を抑えながら、ギリギリのところで社会経済活動を回していくことが最大の対策」とし、財政的支援も含め、病床数の拡大などの医療提供体制への支援の拡充のほか、これまでの知見を生かししっかり感染予防をしていれば、外食や移動自体の感染リスクは高くないので、国民や事業者が過度に委縮することのないような広報、Go Toキャンペーンについても地域の感染状況を勘案した柔軟な対応を要望した。
これに対し西村大臣は、観光事業者、飲食店などは厳しい状況にあると指摘。「雇用調整助成金、家賃支援給付金、資金繰り融資なども活用いただきたい。時短営業要請に対する都道府県からの協力金については、国も臨時交付金に500億円の枠をつくって支援する。足元の状況や海外の感染拡大の状況などのリスクにも対応できるよう、中小企業への支援を含めて、経済対策に取り組んでいきたい」と述べた。
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