アジアの風〜ビジネスの先を読む〜 アジアン・コスメの台頭が映すもの ~日本ブランドの牙城をどう守るか~

日本のコスメショップに並ぶ中国ブランド、大英博物館とのコラボや北京・頤和園のデザインを使ったものなど工夫が凝らされている

新型コロナウイルスの感染第3波が世界を襲う一方、ワクチンの一般接種も始まり、長かったトンネルの出口も見え始めた。世界経済は回復途上だが、その中でさまざまな変化の芽も見えている。その一つが「中国ブランド」「東南アジアブランド」の台頭である。

渋谷や新宿で、10~20歳代の女性が買い物をするコスメショップで数年前から棚のかなりのスペースを占めるのは韓国コスメだが、2019年に入って中国コスメが加わった。

「フラワーノーズ」「ズーシー」「キャットキン」「花西子」といったブランドだ。筆者には全く不案内な世界だが、中国コスメは中国風の「チャイボーグ」メイクが世界で話題になり、それに使うコスメとして一気に世界に広がった。YouTubeやTikTok、インスタグラムがブームの原動力となった。

日本の中高年の認識は「中国の化粧品には何が含有されているか不安。だから中国の富裕層は資生堂やカネボウなどの日本ブランドや、欧米ブランドの化粧品を購入する」というもので、メディア報道も「日本企業は品質、信頼を武器に」と主張する。だが、現実は中国製品の品質、信頼度は着実に向上し続けている。

肌に直接、触れるコスメで若い女性が中国製を何の不安もなく使うのは日本人の中国ブランドへの認識変化の先行指標だろう。既にスマホの世界では日本ブランドよりファーウェイやOppoなど中国製を選好する消費者は多い。10年後、20年後にはその世代が中年になり、消費をリードすることになれば、中国ブランドへの好感度がより高まっているのは確実だ。

今、自動車業界は電気自動車(EV)への歴史的転換が進んでいるが、同時に中国の独自ブランドが劇的に台頭している。蔚来(NIO)、小鵬、威馬といった新興EVメーカーやBYD、広汽埃安新能源といった既存メーカーである。その多くは、輸出に力を入れており、一部は日本市場にも進出している。米EVメーカー、テスラが上海近郊に工場進出し、グローバル輸出拠点にしようとしているのは、「中国発EV」がブランド力を持つとみているからだろう。

化粧品と自動車は日本にとって、競争力を持つ分野の代表だが、そこで中国ブランドが品質、性能、信頼を高めてくれば、日本にとって脅威だ。ちなみに中国コスメに続き、日本で人気が高まっているのは「ミスティーン」「ビューティコテージ」といったタイ製のコスメだそうだ。

後藤 康浩(ごとう・やすひろ) 亜細亜大学 都市創造学部教授 早稲田大学政経学部卒、豪ボンド大学MBA取得。1984年日本経済新聞社入社、国際部、産業部のほかバーレーン、ロンドン、北京などに駐在。編集委員、論説委員、アジア部長などを歴任した。2016年4月から現職。アジアの産業、マクロ経済やモノづくり、エネルギー問題などが専門

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