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こうしてヒット商品は生まれた! 雲丹醤油

練りうにをペースト状にし、相性の良い北海道産の丸大豆しょうゆと合わせて、濃厚な旨みとコクを実現。おすすめレシピの入門編は「卵かけご飯」、中級編は豆腐や白身魚などの「白いもの」、上級編は肉にかけて食べる「うにく」だそうだ。1本1296円(税込)

地域の食材を活用して「とがる ささる 突き抜ける」をコンセプトに、お客さまのハートをつかむ商品づくり、店づくりで、圧倒的な集客力を誇るロコファームビレッジ。そんな同社が開発・販売している「雲丹醤油」が異例のヒットを飛ばしている。すでに同類商品が市場にある中、同商品がこれほどまで消費者たちをとりこにした理由とは―。

自社直営店の中でダントツの人気

「食べた方は皆さん、『めっちゃ、うに!』と言いますね」

ロコファームビレッジ総支配人の泉晃さんは、開口一番、そう表現した。何のことかといえば、同社が2018年3月に発売した「雲丹醤油」である。同商品は、うにをふんだんに使用して、そのコクや香りを最大限に引き出したしょうゆ調味料だ。こうした商品は、「うにの香りはするけれど、食べてみたらうに風味のしょうゆ」というケースも少なくないが、同商品は「食べてみたら、うに」の味わいが楽しめる。

「私たちがおすすめしている『雲丹醤油』の最もおいしい食べ方は、卵かけご飯です。シンプルですが、病みつきになるおいしさですよ。他にも豆腐やイカ刺し、白身魚など、‶白いもの〟によく合います」と泉さんは太鼓判を押す。

開発した同社は、09年に北海道産食材の加工・販売、直営店やレストランの運営などで設立された。‶食のテーマパーク〟を掲げる直営店・北海道ロコファームビレッジでは、とれたての新鮮野菜や魚介、焼きたてのパンやスイーツ、100を超える菓子や調味料などのオリジナル商品がずらりと並び、地元客や観光客、インバウンドの人気を集めてきた。そんな数ある商品の中で、ダントツの人気を博しているのが雲丹醤油なのだ。

高級食材を原料に付加価値を付けて高く売る

同社が幾多の地域産品からうにに着目したのは、高級食材だったことが理由だ。

「生うにだと少量でも5000~6000円はするので、気軽に手が出せません。しかし、加工品にすれば手軽に味わってもらえるし、原料自体が高いので、こちらとしても価格設定を高くできるところが魅力でした」

こうしてうにを主原料に、北海道産丸大豆を使った「うにしょうゆ」をつくることにした。すでに類似商品が全国で20数社から販売されていたが、全てを取り寄せて試食すると、‶うにの香りがするしょうゆ〟がほとんどだった。そこで同社は、うにの味わいを前面に出したものにしようと決めた。原料には蒸しうにを使用し、それをペースト状にして、旭川の丸大豆しょうゆと合わせる。うにをたっぷりと配合することにこだわり、味の絶妙なバランスを模索して、ようやく完成にこぎつけた。

「当初の販売価格は1本1500円。当社直営店の平均客単価は1200~1500円なのに、この価格で売れるか不安でしたが、予想に反して売れ行きは好調でした」

その秘訣(ひけつ)は、試食販売だ。白いご飯にかけて食べてもらうと、皆目を丸くして「めっちゃ、うに」と驚き、ほとんどの人が買ってくれた。その人が再び自分用に、友人に、実家の両親にとまとめ買いをしてくれるようになり、口コミも拡散していった。結果、7カ月で1万9000本を売り上げたが、原料が調達できなくなり欠品となってしまう。蒸しうにはもともと生産量が限られていたことから、代替原料に生うにを使って再生産に乗り出した。しかし、思わぬ困難に見舞われる。

「蒸しうにの弱点は生臭さと異物混入です。生うにを蒸しただけでは生臭さは消えませんし、異物も手作業で丹念に除去していましたが、ある日タバコのフィルターが出てきたことがあって、使うのを断念しました」

いろいろ試してみて、最後にたどり着いたのは練りうにだった。磯の香りが強い蒸しうにと比べて、練りうにはクセがなく、ほんのり甘くて食べやすかった。そこから40パターン以上の試作を重ね、ようやく納得のいく味にたどり着き、19年3月に販売を再開した。

うに好きが多いアジア諸国への販路開拓が進行中

前作同様、売れ行きは好調だったが、それに拍車をかけたのが同年11月に開催された「調味料選手権2019」でのグランプリ受賞だ。一気に認知度が上がり、200を超える卸業者から引き合いが舞い込んだ。しかし、それを全部断ったのだという。

「以前ある売れ筋商品を、二次卸を介して拡販したことがあるんです。一時は売り上げが急増したものの、ある時点でガクンと下がりました。なぜなら、新商品が出ると売り場の前面から奥の方に追いやられて、目立たなくなってしまうからです。その反省から、自社で管理できるところのみで扱うことにしています」

そのため現在の販路は、オンラインショップの他、直営店やサービスエリア、アンテナショップなどを合わせた20店舗ほどに限られる。それでも一度購入したお客さまのリピート率は高く、SNSの口コミ効果もあって売れ行きを伸ばす。その後、日本ギフト大賞北海道賞やモンドセレクション金賞、北のブランド(札幌商工会議所)金賞などを立て続けに受賞して、販売再開後の累計販売数は15万本、トータルで2億円を売り上げた。「今、社長からは10億を目指せとはっぱをかけられています(笑)」

その方策として乗り出しているのが、アジア諸国への販路拡大だ。日本の大手量販店の海外店舗での販売が決まりつつあるそうだ。特に香港でのうに人気は高く、泉さんも期待を寄せているという。

「原料の調達という課題はありますが、より多くの人にうにの味、北海道の味を楽しんでもらうためにも頑張りたい」と意気込みを語った。

会社データ

社名:株式会社ロコファームビレッジ

所在地:北海道北広島市大曲幸町3-7-6

電話:011-377-2437

HP:https://www.hokkaido-loco.com/

代表者:河越 康行 代表取締役

設立:2009年

従業員:40人(パート含む)

※月刊石垣2021年2月号に掲載された記事です。

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