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「下町育ちの再建王」の経営指南 コロナ禍中でも人生は変えられる

「仕事は楽しいものですか?」もしこう尋ねられたら、私は、「楽しいものではありません」と即答するでしょう。それほど私にとって仕事とは、悩ましいものであり、苦しいものであり、身を粉にしないと何も得られない大変なものです。マイナスイメージをもっと言うと、仕事は果てしなく迫りくるストレスでもあります。

しかし、仕事を頑張る道程には、うれしい事や感動させられる事が少なからずあります。「結果がすべて」という表現をよく耳にしますが、結果だけが大切でプロセスはいらないとしたら、スポーツをする必要も、将棋を指す必要も無く、じゃんけんやコインの裏表で勝敗を決めればいいのです。

もちろん仕事では成果が必要で、すべては良い結果を出すための努力の積み重ねですが、大切なのは、結果に至るまでの経緯、プロセスです。

勉強でも仕事でも、人はある時期、一つのことに没頭する数年が重要です。学生時代や仕事の下積み時代にそういう時期を過ごすことで、深く物事を考える学業仕様の脳みそや、職業仕様の脳みそを持った人間に成長することができるのです。

働き方改革が叫ばれ、リモートワークが普通とされる今、逆行するようなことに聞こえるかもしれませんが、のめり込んで没頭する時期がないと、少なくとも仕事という分野では優れた業績は上げられませんし、ビジネスマンとして大成しません。現在では法に触れるので、決しておすすめしませんが、私は船井総研に入社して15年間、年にほんの数日しか休まず、とにかく仕事に没頭しました。

3年目に担当した指導先で出された昼食が、ラーメン一杯だけだったことがあり、同行した若い同僚のおなかを満たすために、せめて、おにぎりでも付けてくれるよう、交渉した経験があります。年商1億5千万円だったその会社は、8年後には20億円を超えるまでに成長しました。当然、私たちの昼食は趣向を凝らしたごちそうへと変化しました。みじめな事もうれしい事も、これら一つ一つが仕事のプロセスです。プロセスの楽しさと、指導先からの信頼のおかげで、コンサルタントを30年以上続けることができました。

若い人に伝えていただきたいのは、一定期間、せめて入社して5年間、死にもの狂いで仕事に没頭してほしいということ。そういった生き方を身に付けられたら、業績や地位が上がるだけでなく、気が付くとその分野の専門家になれるということです。

世界中がコロナ禍で不安に満ちた現在ですが、そのような閉塞感の中にあっても、考え方次第で人生を変えることができるのです。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

お問い合せ先

社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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