「下町育ちの再建王」の経営指南 組織のイメージを描く

不透明な時代が続きます。トップは「今後どのような組織を目指すのか」を、深く考えることが必要です。今回はその参考として、今から23年前、私が「船井総研」の副社長に任命された時に考えた、企業イメージを紹介したいと思います。

当時、既定路線として2年後に社長になることは、ほぼ決まっていたので、これからどのような船井総研にしていくのかをイメージすべく、『グレートカンパニー』という言葉を掲げました。

当時、トヨタ自動車は経常利益2兆円を計上する「ビッグカンパニー」でしたが、船井総研は売り上げが53億円で利益が5億3000万円。身の丈に合って、しかも分かりやすい言葉をと思案し、グレートに決めたのでした。

私が考える『グレートカンパニー』の要件は、まず「潰(つぶ)れない」ことです。

中学生の時、実家の倒産という憂き目を目の当たりにしているので、「倒産は罪悪」と考え、船井総研を潰れない会社にするのに必死になりました。

当時は41億円ほどの借金があり、そのうち38億円は特別損失でした。それでも業績を伸ばせばなんとかなると考え、年12億円の利益を出して10億円を特損に充て、4年半ほどで借金を完済しました。

次の要件は、「顧客にロイヤルティーを持たせられる企業」です。お客さまが船井総研に対して忠誠心を抱くような、言い換えれば「船井なら大丈夫だ」と、安心感を持ってもらえる企業でないといけないと考えました。

また、従業員のロイヤルティーや忠誠心も大事です。

副社長になった頃は、コンサルティング会社の平均退職率は20%台半ば。わが社の退職率も20~22%ほどで、せめて7%にしたいと考えました。

一人ひとりは微力でも、その能力を見極め、適材適所に配し、経営者が上手に動かすのが組織です。そのため、優秀な人間の流出は命取りにもなりかねません。

派閥がなく働きがいのある楽しい会社づくり、「船井のためなら骨身を削って働きたい」と思わせる環境整備にも取り組み、3年で7%を実現、後に6%まで下げることができました。

ほかにも細かな要件はありますが、世のため人のために役立つ「社会貢献企業」として、社員とお客さまに姿を伝えることは、「グレートカンパニー」として必須です。

これらが一つでも欠けると「グレートカンパニー」にはなれませんが、要件は全てリンクしており、うまくいき始めると、目標に向かって転がり始めることを社員と一緒に体験しました。

皆さんの目指す組織イメージはどういったものでしょう。理念や哲学とはまた別に、イメージを描いてみてください。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

お問い合わせ先

社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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