日本商工会議所の三村明夫会頭は3日、日本経済団体連合会の十倉雅和会長、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事とともに、首相官邸で菅義偉内閣総理大臣、梶山弘志経済産業大臣、田村憲久厚生労働大臣、河野太郎ワクチン担当大臣と新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、ワクチンの職域接種に関する意見交換を行った。菅総理は、感染封じ込めと収束に向け、職域接種の早期実施の必要性を強調。経済界への協力を要請した。三村会頭ら3団体トップは政府の意向に理解を示し、接種の一層の加速化を求めた。
会議の冒頭、菅総理大臣は、新型コロナの影響が長引く中、これまでの休業要請やテレワークへの対応など経済界の協力に謝意を示すとともに、「政府としては、感染を封じ込め、1日も早く収束に向かわせる」との決意を表明。「6月中旬以降、ワクチンの職域接種を始める。職域接種が進めば、自治体の負担が大きく軽減され、全体の接種が早まり、企業の活動にとっても大きな意義がある」と述べ、政府と経済界が一体となった、円滑で速やかな接種の推進のために、経済界の協力を求めた。
三村会頭は、商工会議所として、職域接種に最大限協力していく考えを表明。「諸外国では、ワクチン接種が進み、新規感染者や重症者などは確実に低下し、活動再開へと動き出している。国民や事業者が将来に希望を持ち、経済を活性化させる光がワクチンである」と述べ、「官民総がかりでワクチン接種を加速化させ、ギリギリのところで社会経済を回しながら、集団免疫を獲得していく必要がある」との考えを示した。
職域接種の推進に当たっては、「まず、産業医、企業内診療所や病院を持つ、各地商工会議所の大企業・中堅企業などに協力を依頼したい」と述べ、「余力があれば、取引先の中小企業などへの接種をお願いしたい」との希望を表明。「産業医を持たない中小企業への共同接種を進めるためには、医師などの協力が必要であるが、商工会議所は産業医などを抱えておらず、最大の課題は医療資源の確保である」との見方を示した。
自治体との連携に関しては、「市町村は高齢者接種に全力を注いでおり、職域接種の官民連携に余裕はないのが現状と思う」と課題を指摘。自治体から商工会議所に具体的な協力依頼があれば、各地域で地区医師会などとも連携し、自治体による接種と中小企業の職域接種との両立の方策を検討する考えを表明した。
政府に対しては、医療資源の提供と接種のノウハウや費用面の支援を要請。「これらがコミットされれば進む地域も出てくるだろう。好事例を横展開して、職域接種を普及してまいりたい」と意欲を示した。
三村会頭の発言を受け、政府側は、「職域接種に向け、国として全面的にサポートする。まず、自らの医療資源で対応が可能な企業からのスタートとなるが、(医療資源を持たない)中小企業の共同接種のスキームも作成したい」と回答。日商では、今後、国、自治体などとも緊密に連携し、中小企業の共同接種の円滑な実施に協力していく。
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