「商品やサービスを売るのは、お客さまの最終的満足を売っているのであるから、安いことが全てではなく、その人の所得によって好みも異なる。従って、お客さまに喜んでいただける最高の価格で売る、これも正しい」
ある社長からこういう話を伺いました。
私が船井総研に入った頃は、商品はできるだけ安く売った方がいい、というのが常識でした。もちろん高級感は出した方がいいのですが、大衆が手を出しやすい価格帯でないとたくさんは売れない、という時代でした。
当時は国民の83%が中流であり、お金持ちは10%ぐらいだったので、83%だけを見ていれば仕事になったわけです。ところが今、高所得者層は20%以上いて、低所得者層が30%弱いるので、いわゆる中流は50%しかいません。そこをターゲットにしていては、中流消費者の奪い合いになってしまいます。
資産1億円以上の人は、日本に300万人いるといいます。現金は無くても、都市部に不動産を所有する人も含みます。ある統計では、資産100万ドル以上を持つ資産家は世界で約4700万人、資産10億ドル以上の人は約2800人といわれています。二極化により、お金持ちも急速に増えています。
指導先のランドセル屋さんは、10数年前までは下請け工場だったのですが、私のセミナーにも熱心に通って勉強し通販専門店として、平均6万8000円の高級ランドセルが売れるブランドに成長しました。太陽光により色の変わる特殊な染色を施したランドセルを、当時、17万8000円で販売してみたところ完売したので、「素晴らしいダイヤモンドの入ったランドセルをやってみたら」とアドバイスしたところ、「誘拐などが起こると困るので、それはやめましょう」とのことでした。
有名な2世タレントが、小学校の6年間、父のベンツで学校に通っていたと、テレビで話していました。多額の資産を持つ家庭では、子どもの危険を考えて送迎するのが当然なのかもしれません。しかし、下請け工場を経営していた社長の意識では、それは想像できないわけです。
お金持ちの気持ち、暮らしぶりは一般大衆には理解できません。それでも富裕層を相手に商売しないといけない時代です。私は決してお金持ちではありませんが、コンサルタントという立場で、指導先の社長が対等に話をしてくださる。だからさまざまな所得層の気持ちや本音が理解できるのです。
皆さんも積極的に裕福な知人と話をするようにしてください。お金があるのだから、高くても価値ある買い物をしたいという心理を理解しなければ、そういったお客さまを満足させてあげることはできないのです。
お問い合せ先
社名:株式会社 風土
TEL:03-5423-2323
担当:髙橋
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