徳島は海あり山あり、素朴で温かく、いつも変わらず人を優しく包んでくれる風土があり、私はそこで生まれ育ちました。20歳で機械部品を製造する「寺内製作所」に嫁ぎ、夫で二代目となる社長を支え、2人の娘を育てながら経営を手伝い、忙しくも充実した日々を送ってきました。
しかし、順風満帆な日常は続かず、オイルショックによる経済不況により、当社の経営が厳しい状況となる中、1972年には義父である創業社長が亡くなるという苦しい体験をしました。
私は、この試練を乗り越えるために人事担当の役員として、社員の一人一人と話し合いを重ねて状況を理解していただき、心を鬼にして人員整理に踏み切りました。その時の心苦しい思いは今も消えることはありません。
78年には、最先端の精密工作機械を導入するため、本社と工場を現在の所在地へ移転するという、大きな決断をしました。
84年には二代目が50歳で他界し、最大の試練が訪れました。経営を引き継いだ私は、涙を拭く間もなく、営業活動に没頭。現場を飛び回り、口では言い表せないほどの忙しい日々が続きましたが、運を味方にその後、順調に業績も伸展し、現在では繊維機械部品製造のトップメーカーとなりました。
多忙な日々の中、心に癒やしを与えてくれるのが趣味のゴルフです。50歳で営業活動のために始め、ハンディキャップ10まで上達し、ホールインワンも達成できました。また、もう一つの趣味であります四国八十八箇所霊場巡拝は既に95回を数えており、早く100回回りを達成し、錦の納札をしたいと思っております。
そんな私にとって、商工会議所とのご縁は、現名誉会頭である近藤宏章さんからお声掛けいただいたことがきっかけです。地元徳島に恩返しができればと思い、常議員を3年、副会頭を3期9年、その間、女性会会長も務めました。
2019年11月には、会頭に推挙いただき、女性としては初めての会頭に就任しました。以来、「中小企業、小規模事業者に寄り添う温かみのある徳島商工会議所」を理念に掲げ、会員、役員・議員の皆さま、専務理事、職員のお力添えを得ながら、管内事業所に対する支援を進めております。
昨年は、コロナ禍で厳しい経営を余儀なくされている地域の飲食店を応援するため、いち早くクラウドファンディング事業『みらい飯』に取り組み、会員である飲食業の皆さまに感謝の言葉をいただき大成功と自負しております。
アフターコロナを見据え、事業承継や四国八十八箇所霊場と遍路道の世界遺産登録への取り組みなどに注力し、今後も会員事業所の積極的な支援に努めてまいります。
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