ちょうど2年前の2019年、テーマパーク「東京タピオカランド」が東京・原宿駅前に期間限定でオープン。「タピる」「タピ活」などの流行語が生まれ、タピオカのドリンクで第3次ブームが起きました。歴史をひもとくと、1992年と2003年頃にも同じようなブームが起きて、2年くらいで一段落しています。今回も、閉店する店舗も出てきていますので、一段落の時期がきたのかもしれません。
ブームに左右されないゴンチャの強み
そんな状況にもかかわらず、タピオカを扱うカフェをどんどん出店している会社があります。それは06年に台湾で誕生し、15年に日本へ上陸、第3次ブームの前から出店を開始して、現在は100店舗以上を運営するゴンチャジャパンです。
400店舗を目標に出店を加速していますので、認知度も大幅に上昇しています。ブームが一段落したタイミングに攻めているわけなので、ある意味「逆張りの戦略」といえますが、どうしてそんなことが可能なのでしょうか。関係者に話を聞いてみたところ、ブームに乗ったタピオカの店との違いが見えてきました。
ゴンチャで、タピオカはドリンクを楽しむオプションの一つにすぎないのです。そのため、一般的に人気の高いタピオカミルクティーをメニューで押し出さない。お粥やストレートティー・ホットティーも提供する。こうしたメニューの広がりで、男女・世代を超えた「ターゲット」が気軽に何回も使うカフェを目指した店づくりを行っていました。
ほかの店は、甘いスイーツ系でタピオカがたっぷり入ったドリンク中心のメニュー。流行に敏感な若い女性がターゲットで、ご褒美的に使う店なので、たくさん増え過ぎると希少性が下がり、流行が終えんしてしまうのです。もし、店舗が増え過ぎなければ、もう少しブームは長持ちしたかもしれません。
ターゲットを設定し的確な発信を
さて、各地で新しい人気商品を生み出すなら、ゴンチャのように何回も選んでいただける存在になりたいもの。そのためには、まずターゲットを想定することです。例えば、日本酒で新ブランドを立ち上げることになったとします。その製品は「男性向け」なのか、それとも「女性向け」なのか。「若い世代向け」なのか。これらをきちんと整理し、設定することが重要です。
ターゲットをしっかり設定すれば、商品開発に関わるメンバーの認識を一致させることにもつながります。その上で、ターゲットとなる人たちが、どんな価値観を持っているのか、インタビューやSNSの発信内容で確認してみるのです。すると、何回も選ばれる商品のコンセプトが見えてくるでしょう。
(立教大学大学院 非常勤講師・高城幸司)
最新号を紙面で読める!