日本商工会議所は1月20日、山際大志郎経済再生担当大臣との懇談会をハイブリッド形式で開催した。日商の三村会頭は、足元のコロナ対策に関して、感染対策と経済活動を高い次元で両立させるよう要請。ワクチン検査パッケージについては「原則継続」とした上で、「オミクロン株に即したメリハリのある対策で経済を回す前向きなメッセージをお願いしたい」と述べた。山際大臣は、「正しく恐れながらどう経済を回していくか考えたい」と応じた。
会合には、日商側から、三村会頭のほか、尾崎裕副会頭(大阪・会頭)、山本亜土副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、鎌田宏副会頭(仙台・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、泉雅文副会頭(高松・会頭)、谷川浩道副会頭(福岡・会頭)ら10人が出席。政府側からは、山際大臣のほか、内閣府の黄川田仁志副大臣、宗清皇一大臣政務官ら幹部14人が出席し、意見交換を行った。
日商の三村会頭は、新型コロナ変異株の感染拡大について、過度に恐れずに、基本的な感染対策と社会経済活動を高い次元で両立させていくことが重要と指摘。「ブースター接種の迅速な実施や経口薬の早期承認とともに、過去2年間の経験を踏まえた医療提供体制の充実など、これまで準備してきた対策の成果を、今こそ発揮してほしい」と述べた。
特に、ワクチン検査パッケージについては、「原則継続」とした上で、「オミクロンに即して内容を強化し、メリハリのある対策で経済を止めずに回していく、前向きのメッセージをお願いしたい」と要請。「商工会議所としても、事業者に対し、感染拡大時でも業務を継続していけるBCP策定とテレワークの導入を、支援していきたい」との考えを示した。
また、売り上げの減少や原材料・燃料価格上昇の影響など足元の厳しい経済情勢に触れるとともに、中小企業の価格転嫁力など課題を指摘。昨年末に政府が策定した「転嫁円滑化施策パッケージ」の着実な実施や、国民の将来不安を払しょくするために全世代型社会保障の実現を強く求めた。また、コロナ禍を契機とした地方への関心の高まりを好機とする地方創生へのさらなる取り組み強化についても要請した。
一方、山際大臣は、「コロナについては、社会活動との両立に向け、オミクロンの特性を踏まえたメリハリのある対策にかじを切るべく、エビデンスを集めている」と強調。検査パッケージについては、「情報をオープンにしつつ、適切な指針を早く示したい」との考えを示した。また、ブースター接種については、「3月末までのワクチン確保と配送手配はできている」と述べた。
賃上げについては、「政府として、価格転嫁円滑化パッケージなど、賃上げ原資を確保するための環境整備に注力している」と強調。地方創生については、「確実に必要となる全国的なデジタルインフラの整備に注力する」などの考えを示した。
最新号を紙面で読める!