鹿児島県鹿児島市
航海に正確な地図と羅針盤が必要なように、地域づくりに客観的なデータが欠かせない。今回は、薩摩藩の城下町として栄え、南九州の中心都市として発展してきた「鹿児島市」について、まちの羅針盤(地域づくりの方向性)を検討したい。
実はコンパクトな都市
鹿児島県といえば桜島に代表される雄大な自然に加え、豊かな農林水産物が思い浮かぶだろう。ただ、県庁所在地である鹿児島市には県民の4割が住み、人口密度(可住地面積1平方キロメートル当たり)は2千人を超える。平地は乏しいが、その分、市街地はコンパクトで活気がある。GRP(域内総生産)の9割が第3次産業で、中心都市としての拠点性を背景にサービス業が集積してにぎわいを生み出し、それがまた拠点性を高めている構造だ。ただ、「保健・衛生事業」(介護や医療)、「小売業」など労働集約的な産業の集積が先行しており、そのにぎやかさに比べ、拠点性の高さが地域の付加価値に結び付いていない現状がある。
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