四日市市の追分は、東海道と伊勢街道の分岐点として、江戸と京都を往来する人や伊勢神宮に参拝する人々が通ったところです。また、海では、四日市湊から熱田の宮までの十里を廻船が行き交い、四日市は古くから陸海の交通の要衝となっていました。地場産業としては、土鍋で全国の8割のシェアを持つ万古焼や三重県が生産量全国3位のお茶、私が生まれ育った地域でつくられる「大矢知(おおやち)手延素麺(そうめん)」、鈴鹿山脈の豊富な伏流水を使った日本酒などが挙げられます。
私は四日市で生まれ、大学卒業までは四日市で暮らしましたが、就職後は35年間東京と大阪で勤務し、四日市に戻って14年になります。一度故郷を離れて生活し、戻って来て改めて三重県・四日市の素晴らしさを実感しています。
さて、四日市港は、四日市の発展とともに進化を続け、2022年には四日市港霞ヶ浦地区国際物流ターミナル整備事業が着工となり、26年度にはコンテナ専用の耐震強化岸壁の供用が始まる予定です。また、新名神高速道路の三重県内区間の全面開通に続き、東海環状自動車道の全面開通予定など道路網の整備も進んでおり、四日市港へのアクセスはさらに利便性が増すと期待しています。
一方、当所が中心となって設立した「四日市みなとまちづくり協議会」では、港発祥の地である四日市地区の再生を図り、モノ・ヒトがともに集う、出会い・憩い・賑(にぎ)わいのみなとまちを実現するために、「みなとまちづくりプラン(基本構想)」を策定し、具体化に向けて努力しています。四日市港では周辺に展開する石油化学コンビナートの幻想的な夜景を海上から眺める夜景クルーズが行われ、国内でも有数の工場夜景が楽しめます。
これからの課題としては、「カーボンニュートラル」への対応があります。四日市は、石油化学、輸送機械、電子デバイスをはじめとした製造業や運輸業などの産業が集積していますが、将来にわたり強靭な地域経済力を維持していくためには、官・民・学・金が連携して、この課題を克服していくことが重要になります。
私が特別顧問を務める三十三銀行は、「地域のお客さまから愛され信頼される金融グループとして、地域とともに成長し、活力あふれる未来の創造に貢献します」という経営理念を掲げております。足元では、新型コロナウイルスの長期化、地政学的な問題などにより、目まぐるしく環境が変化しており、カーボンニュートラルへの対応も含め、地方銀行の役割が日増しに大きくなっていると感じています。
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