独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)はこのほど、2022年版「ジェトロ世界貿易投資報告~混乱極める世界経済、求められるビジネス戦略の再構築~」を取りまとめ、公表した。
報告書は、最新のデータを踏まえて分析した「世界と日本の経済・貿易」「世界と日本の直接投資」、WTOやFTAを中心とした通商政策の最新動向を示した「世界の通商ルール形成の動向」、人権や温暖化対策など持続可能な企業経営についてまとめた「持続可能な社会を目指す政策とビジネス」の4章構成。「局地的な経済活動制限、供給制約や国際輸送の逼迫(ひっぱく)、ロシアのウクライナ侵攻など、多くの混乱要因が生み出す負の連鎖は、目下の国際ビジネスの不確実性をかつてないほど高めている」との見方を示した。
貿易面においては、「資源価格の高騰と急激な円安の同時進行が輸入コストを上昇させ、国内企業収益の悪化や消費意欲の低下を招いている」と指摘した。
半導体などの供給制約とサプライチェーンの混乱については、「輸出の拡大を阻害し、幅広い産業分野の新規投資意欲を減退させている」と指摘。日本企業には、「混乱の長期化も見据えたビジネス戦略の見直しが求められる」としている。また、地政学的リスクの増大に伴い、各国で導入が加速している経済安全保障関連政策については、「輸出管理の強化や投資の事前審査の導入は、手続きやリスク管理の面で、企業に新たな負担を強いる」と指摘する一方で、「人権尊重や脱炭素化などの政策領域と、通商政策や輸出入規制との連動にも細心の留意が必要」との見方も示している。
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