健康寿命を考える上で、認知症が気になる人は多いのではないでしょうか。認知症は加齢とともにリスクが高くなり、現在、日本における65歳以上の高齢者の有病率は16・7%、つまり6人に1人が発症している計算です。
認知症を完全に防ぐことは難しいですが、近年、生活習慣や食生活の見直しによって、発症を抑えたり遅らせたりすることは可能なことが明らかになってきました。その有効な方法の一つに、手指や足指を動かすことが挙げられます。
理由はまず、手足の指をよく動かすと脳の血流が良くなります。また、神経が敏感な部位なので、そこを意識的に日常生活動作とは異なる動かし方をすると、「このように動かそう」と脳の前頭葉の働きが活性化します。さらに、手指を動かしておくと、日常生活上の細かい動作や作業がしやすくなり、自然とできることが増えます。それが完成したり、達成して喜んだりすると、脳にもいい刺激が加わります。同様に足指をよく動かしておくと、歩きやすい体を維持できるので、自然と行動範囲が広がり、社会的にも刺激を受けて、老化予防につながります。
脳を効果的に刺激するポイントは、日常生活ではあまりやらない動きを行うこと。例えば、利き手ではない方の手指を重点的に使う、左右の手指や足指に同時に違う動きをさせるなどです。
具体的な体操をいくつかご紹介します。まずは「親指とこんにちは体操」。手の親指と人差し指、親指と中指、親指と薬指の順番に、指の腹をくっつけていきます。また、両手の指先を合わせて、指先が当たらないように1本ずつ指を回していく「指回し体操」もおすすめです。
手指と足指で同時に「グー、チョキ、パー」を繰り返す体操も効果的。慣れてきたら、手指や足指同士でじゃんけんをしてみましょう。また、広げたタオルを足指で手繰り寄せる「タオルギャザー」もいい運動になります。自分なりに工夫して、さまざまなバリエーションを試してみてください。
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