中小企業庁はこのほど、第1回「新たなビジネスモデルを踏まえた商工中金の在り方検討会」を開催し、今後の商工中金のあるべき姿・あるべき役割などについて意見交換を行った。会合に出席した西村康稔経済産業大臣は、2016年に危機対応融資を巡る不正事案を受けて設置した「商工中金の経営及び危機対応業務に関する評価委員会」の報告書が今年8月に提出されたことに触れるとともに、「危機対応業務」「地域経済再生に向けた事業再生・事業承継」「時代の変革に対応したスタートアップ、DX、GXへの支援」「地域金融機関との連携、協業の強化を通じた中小企業向け金融機能の底上げ」などの担い手としての商工中金の役割を検討することで、「今後の在り方を整理していく」との考えを示した。
日本商工会議所からは大島博特別顧問(中小企業委員会共同委員長)が出席し、中小企業の立場から特に「危機時の対応」「株主資格制限の維持」「特別準備金」の3点の重要性を指摘。「引き続き、商工中金が中小企業を支援する役割を担ってほしい」と要望した。危機時の対応については、「新たな危機事象が発生しても、商工中金による中小企業に対するセーフティーネット機能が発揮されるような措置」が必要との考えを示した。
株主資格制限の維持については、「仮に、株主資格制限を撤廃し、民間企業や投資ファンドなどに株式が渡ると、中小企業への融資スタンスが厳しくなる可能性がある」と強調。特別準備金については、「中小企業のチャレンジを支援するベースであり、改革が商工中金の財務基盤に悪影響を与えるのであれば、中小企業目線では正直、心細いと感じる」と述べ、現状の特別準備金を維持し、財政基盤が毀損(きそん)しない対応を要望した。
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