自由民主党、公明党は12月16日、「令和5年度与党税制改正大綱」を決定し、公表した。与党の税制調査会などにおける議論に際し、日本商工会議所では、各地商工会議所と連携し、与党国会議員などに対して働きかけを強化した結果、要望項目が数多く大綱に反映された。中小企業が取り組む成長投資を後押しする中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、中小企業者などの法人税率軽減措置などが延長。また、研究開発税制の延長・拡充、償却資産に係る固定資産税の負担軽減措置の創設なども盛り込まれている。
日商が強く要望していた中小企業関係租税特別措置については全ての措置が延長となった。具体的には、「中小企業経営強化税制」「中小企業投資促進税制」「中小企業の法人税率の軽減措置」「研究開発税制」「地域未来投資促進税制」「中小企業防災減災税制」について延長が決まり、一部拡充や見直しも行われる。また、新たに、償却資産に係る固定資産税の負担軽減措置が創設。総務省が検討している外形標準課税の対象拡大は見送られた。
消費税インボイス制度については、商工会議所の強力な要望活動の結果、制度導入後の影響緩和策として「免税事業者の課税転換後の税負担」と「事務負担」を軽減するための措置が講じられることが決定。税負担増に対する軽減措置として、免税事業者が課税転換した場合、納税額を売上税額の2割とする3年間の時限措置が決まっている。
電子取引のデータ保存義務化の要件も緩和される。2024年1月から開始する電子データで受け取った領収書などのデータ保存義務化については、商工会議所の要望を踏まえ、中小企業などの経理事務の実態が考慮され、データ保存義務化の対応が簡単になるなど要件を緩和。具体的には、スムーズな税務調査などのための検索機能の確保要件などが緩和され、メールで受け取った電子データは、税務職員から求められた際にデータで渡せるようにしておけば、保存の方法は問わないこととなった。
消費税インボイス制度の影響緩和策
1.税負担増に対する軽減措置
・ 免税事業者が課税転換した場合、納税額を売上税額の2割とする(3年間の時限措置)
2.事務負担増に対する軽減措置(その1)
・ 売上高が1億円以下などの事業者の1万円未満の仕入については、インボイス不要で帳簿のみで仕入税額控除を可能とする(6年間の時限措置)
3.事務負担増に対する軽減措置(その2)
・ 売手負担の振込手数料など、1万円未満の少額な値引きについては、返還インボイスの交付を不要とする
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