中小企業庁は2022年12月23日、同年9月の「価格交渉促進月間」の取り組みの一環として実施した中小企業に対するフォローアップ調査の結果を公表した。価格交渉促進月間は、中小企業が原材料費やエネルギー価格、労務費などの上昇分を発注元企業に適切に価格転嫁しやすい環境を整備することを目的に、3月と9月に設定。フォローアップ調査はその成果を確認するもので、今回は9月26日~11月9日に15万社にアンケートを実施し、1万5195社から回答を得た(回答から抽出される発注側企業数は延べ1万5195社)。また、過去のヒアリングで十分に価格交渉が行われていない状況などが見られた事業者など約1777社に対し、10月17~21日に下請Gメンによるヒアリング調査(電話調査)を実施した。
アンケート結果によると、直近6カ月間の価格交渉の協議については、「話し合いに応じてもらえた」「発注側企業から協議の申し入れがあった」が最多で58・4%。次いで「コストは上昇しているが自社で吸収可能と判断し、協議を申し入れなかった」(14・2%)、「コストが上昇していないため、協議を申し入れなかった」(13・4%)が多かった。一方、「発注企業に協議を申し入れたが、応じてもらえなかった」(6・3%)、「発注量の減少や取引中止を恐れ、協議を申し入れなかった」(6・0%)も依然として存在している(図1)。
また、直近6カ月間の価格転嫁の状況を見ると、価格転嫁できた割合は「9割、8割、7割」が18・2%と最多。次いで「10割」(17・4%)だった。「0割」と「マイナス(減額)」を合わせて全く価格転嫁できていない状況は20・2%だった(3月は22・6%)。今回から公表する「価格転嫁率(コスト上昇分のうち、どれだけ価格転嫁できたかを示す割合)」は46・9%で、3月調査(41・7%)から増加。全く転嫁できていない企業の割合は減少し、全体として価格転嫁の状況は改善した(図2)。
価格交渉状況を業種別に見ると、価格交渉に相対的に応じている業種は、石油製品・石炭製品製造、鉱業・採石業・砂利採取業、卸売りなど、応じていない業種は、トラック運送、放送コンテンツ、廃棄物処理など。価格転嫁状況を見ると、価格転嫁に相対的に応じている業種は、石油製品・石炭製品製造、機械製造、製薬など、応じていない業種はトラック運送、通信、放送コンテンツなどという結果だった。
中企庁はこれらの結果を踏まえ、状況の良くない発注側の個別企業に対しては下請中小企業振興法に基づく「指導・助言」の実施を検討するとともに、業種別の自主行動計画やガイドラインの拡大に取り組んでいく。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2022/12/20221223005/20221223005.htmlを参照。
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