体に何らかの自覚症状があるとき、病院に行くか行かないかの判断には個人差があります。厚生労働省が行った受療行動調査(2020年)によると、自覚症状から24時間以内に病院を受診した人は約12%しかいません。一方、受診までに1週間以上かかった人は、全体の40%を占めるという結果でした。受診までに時間がかかった理由として、60%を超える人が「ひとまず様子を見る」と回答し、行く時間がない、予約が取れない、行くのが面倒という理由が続きます。
症状が極めて軽い、少ししたら治まったという場合であれば、ゆっくり休んで様子を見る対処を否定はしません。しかし、どうしようか迷うようなら受診するのが賢明です。病気は「早期発見・早期治療」が原則です。大した症状でなくても、「かかりつけ医」がいれば気軽に相談できて安心です。
また、市販薬で様子を見るのも良い選択ですが、薬は自己判断せず薬剤師や登録販売者に相談して選ぶことが重要です。もし、症状がいつもと違う、明らかに痛い部位がある、発熱や吐き気などほかの症状を伴う、痛みが継続しているという場合には、速やかに受診しましょう。メンタルが不調なら、気持ちが沈む、やる気が出ないなどに加えて、眠れない、食欲がない、過食や浪費が抑えられない、日常生活に支障を来すなども受診の目安になります。
いざというとき、医療にかかるかどうかを適切に判断するには、自分の体の状態を把握しておくことが大切と考えます。例えば、胆石や腎臓結石、子宮筋腫、不整脈、高尿酸血症、脳動脈瘤などは、定期的に健康診断や人間ドックを受けて、急に受診すべき状況になる可能性の有無を知っておきましょう。ほかにも、持病、体質、家族の病歴などにも留意しておくと良いでしょう。
そして医療機関にかかる際には、症状の原因部位や病名を自己診断せずに受診することがポイントです。上腹部が痛いと「胃が痛い」と言って受診しがちですが、実は胆のうや膵臓などほかの部位が原因かもしれません。この場合は、「この辺りが痛い」と示すのが賢い受診の仕方です。
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