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テーマ別企業事例 消費生活アドバイザーが注目される理由「消費者目線」がさらに業績を上げる

事例1 企業と消費者の橋渡し役として双方にメリットをもたらす

リブドゥコーポレーション(大阪府大阪市)

3年前に本社内に設置されたお客様相談室。現在4人体制で多いときは1日60件以上の問い合わせに対応することもある

大人用紙おむつを主力とする衛生用品メーカー、リブドゥコーポレーション。同社は病院・施設向けの業務用で業績を伸ばしてきたが、介護保険制度の施行に合わせ、在宅向け商品にも力を入れている。それに比例して消費者からの問い合わせも増加し、対応に苦慮する場面も出てきた。そうした状況打開に貢献しているのが、消費生活アドバイザーだ。

大人用紙おむつの分野で高いシェア

大人用紙おむつは、ある日突然、必要になることも多いそうだ。

「例えば、昨日までお元気だった人が突然倒れたり、転倒で骨折したりして、そのまま要介護になるケースが少なくありません。すると思いもよらなかった在宅介護が始まり、おむつが必要になるのです」

そう説明するのは、大人用紙おむつを製造・販売するリブドゥコーポレーション・C&C開発マーケティング本部リフレお客様相談室室長で消費生活アドバイザーの堤一正さんだ。

同社はもともとベビー用紙おむつメーカーとして昭和40年に設立された。しかし、当時は高価で売れなかったため、販売先を病院にシフトしていく。その後、お産用パッドをはじめ、日本初の粉砕パルプ使用の紙おむつ、大人用パンツ型紙おむつなどを次々と世に出し、この分野でシェアを伸ばしてきた。

大人用紙おむつというと、ベビー用をただ大きくしたものを想像するかもしれないが、基本的におむつと尿パッドを組み合わせることが多い。大人用はサイズが大きいため、おむつごと取り換えると大変なコストがかかる。そこでおむつは1日程度はき、中の尿パッドだけ交換するタイプが主流となっているのだ。

「とはいえ、使う人の体形は百人百様ですし、症状によっては尿量も違います。さらに男女でも事情が異なるため、多くの人に喜んでいただけるものをつくろうとするうちに、商品数が増えていきました」(堤さん)

客観的な視点や法律の知識が強み

かつて大人用紙おむつを使うシーンは病院や施設がメインだったが、平成12年に介護保険制度が施行されたころから状況が変化する。在宅介護により一般家庭で使われるケースが増え、おむつの選び方が分からない、漏れた、むれた、かぶれたといった問い合わせが増加した。

当初、同社では年配のベテラン社員が中心となってことに当たっていたが、年間5000件を超える入電件数に対応しきれなくなった。そんな状況を受け、堤さんは大阪本社内にお客様相談室を設置し、社内初の消費生活アドバイザー資格も取得した。さらに、長年経済産業局や消費者センターなどで相談業務に当たってきた座間丈子さんが加わり、3年前にお客様相談室を設置。有資格者2人を含む4人体制で消費者対応を行うことになった。

「この資格のメリットは、消費者と企業の中間の立場でものを考えるという勉強ができたことです。企業側の立場で対応すると、お客さまと平行線になってしまう場合があります。たとえクレームでも、客観的な視点で話を聞けばお客さまに納得してもらいやすく、会社にとっては商品の改良点に気付いたり、新商品開発のヒントが見つかったりします。つまり消費者と企業の橋渡しができるわけです」と堤さんは説明する。そして座間さんもこう続ける。

「法律の知識があることも強みです。例えば、クレームのお客さまから無理な要求をされたとしても、商品やサービスに法的な非がない場合は、きっぱり断ることもできます。また、大人用紙おむつは医療費控除の対象になりますが、医師から紙おむつ使用証明書をもらわないと控除は受けられません。お客さまにとって少しでも有益な情報を伝えることができるのも、消費生活アドバイザーだからこそと思います」

有資格者を増やして「2025年問題」に備える

消費者からの問い合わせにも、時代によってトレンドがあるそうだ。かつては言った者勝ちとばかり無理難題を突きつけてくる人もいたが、この5年ほどで様子が変わってきている。「普通の方のわがまま」が増えてきているという。そうした変化の背景に介護疲れや社会的なストレスがあるのではと2人は分析している。そして団塊の世代が後期高齢者に達することで社会保障費の急増が懸念される「2025年問題」を控えて、この傾向は加速することが予想される。

そこで、同社はよりよい排せつケアのサポーターとなるべく、さらなる大人用紙おむつの改善や開発に力を入れるとともに、お客さまに寄り添う体制の強化に取り組んでいる。その一環としてお客様相談室の他の2人が、今年消費生活アドバイザー試験に挑戦する予定だ。スタッフ全員が有資格者となって、基本的なお客さま対応姿勢のベクトルを合わせ、共通の認識の下で仕事に当たっていきたいという。同社では資格取得を促す意味で、受験料を会社が負担するほか、関連書籍の購入や合格者による勉強会などを行っている。合格後には、業績評価において配慮することも検討している。

「お客様相談室の仕事は大変でストレスがたまるというイメージを持たれがちですが、それは誤解です。ヘビークレームは全体の7%程度です。実はお客さまに一番近く、社内でお客さまから一番ありがとうの言葉をいただいている部署です。消費生活アドバイザーの資格は、消費者対応部門でなくても役に立つ知識が身に付きます。今後は営業や開発など、他の部署の者にも資格取得の流れが広がってくれたら」と堤さんは期待を口にした。

会社データ

社名:株式会社リブドゥコーポレーション

所在地:大阪府大阪市中央区瓦町1-6-10

電話:06-6227-1361

HP:https://www.livedo.jp/

代表者:宇田正 代表取締役社長

従業員:1050人

※月刊石垣2018年4月号に掲載された記事です

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