日本商工会議所の小林健会頭は11日、定例の記者会見で、大企業と中小企業の価格交渉について、「中小企業の訴えをよく聞いてもらいたい」と述べるとともに、「価格転嫁はまだ終わっていない」と強調した。日韓首脳会議を皮切りとした二国関係改善については、「良い方向に向かっている」との見方を表明。新型コロナウイルス感染症の5類移行については「ビヨンドコロナで経済活動を再開できるようになったことは誠に喜ばしい」と評価した。
小林会頭は、中小企業の賃上げおよび価格転嫁について、「大企業は好業績、株価上昇、賃上げ交渉も一段落する一方、中小企業の賃上げはこれからだ」と指摘。「中小企業、特にサプライチェーンを共有する企業からの価格転嫁の訴えをよく聞 いてほしい」と呼び掛けた。また、日商調査で2023年度の賃上げについて「現時点では未定」としている企業が約3割あることに触れ、「価格転嫁はまだ終わってないということを特に大企業には訴えたい」と強調した。
日韓首脳会談でさまざまな合意がなされたことについては、「両国は一衣帯水の関係であり、良い方向に向かっている」と評価。経済交流を拡大していくことで、国民の相互理解はより深まっていくと思う」と考えを示した。
新型コロナウイルス感染症の5類移行については、「ビヨンドコロナで経済活動を再開できるようになったことは誠に喜ばしい」と評価。一方、ゼロゼロ融資などコロナに絡む融資の返済が本格化する中、経営破綻する企業数が増加しているこ とについて「憂慮している」と述べた。
また、需要が回復しつつある中、人手不足が改めて顕著になってきていることについて、「人手不足と賃上げは切っても切れない関係だ。人手がないと成り立たない業種では、人手を確保するために限界まで賃上げをせざるを得ないだろう」との 見方を表明。「注視すべき点は、賃上げの額ではなく、何のために賃上げしたのかという点だ」と述べた。
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