企業中心社会から人材中心社会に、考え方の枠組みが変わるパラダイムシフトが起きています。社員を一律に教育して就労させるのではなく、個別に適切な人材マネジメントが必要になっているのです。
人材の事をヒューマンリソース=人的資源と呼ぶ時代がありましたが、現在はヒューマンアセット=人的資産の時代です。会社の資産をどのように管理するか、増やすことができるかどうかは、重要なマジメント能力というわけです。
適切な人材を、適切に生かすためには、一律な教育ではなく100人の社員がいれば100通りの育て方が求められます。多様性を重要視した働き方や処遇が必要で、就業条件、福利厚生の配慮、一人一人の人事施策が必要です。
コンサルタント会社では、何といっても人材が重要ですから、船井総研の経営に携わっていた頃、私はヒューマンアセットマネジメントに重きを置いていました。社員の家族の職業を含めた家庭環境も把握した上で、年に一度以上は社長面接を行い、その社員の記録を書き留め、教育に反映させるようにしていたところ、離職率が格段に下がったのです。貴重な人材の成長を促し、早く会社に貢献する人材に育てることは社長として当然の事、と思っていましたが、社員にとってみると、自分を重要視する社の姿勢と教育方針を感じ、組織への忠誠心を育む結果になったのです。
とある調査結果では、ミレニアル世代の中で、出世したいと考えている人は全体の22%と言われています。ということは、ほかの78%の人はそこそこの生活をするための糧を得ることができれば、それでいいと思っているのです。
人を使うのは面倒で嫌な仕事はしたくない、仕事で自分の心身を浪費せず、仕事以外にゆとりを持ちたいという考えが一般的な世代なのです。そんな考えの人に重たい責任を負わせると、会社を辞めてしまいますし、やる気があり新しい事を吸収したいタイプの人に、いつまでも作業的な仕事ばかりさせていると、これも転職の動機になってしまいます。
「うちは小さい会社だからそんなことはあまり関係ない」と思わないでください。小さい会社でも確率的に4人に1人しか、会社を背負って立とうと思っている人は入ってきません。
まずは社員がどちらのタイプかを見極めてください。派手な方に気を取られがちですが、上を目指さないことが悪い事ではなく、地味な仕事をやってくれる人がいてこそ安定した組織が構築されます。「自分は平社員でいい」という人もまたありがたい存在で、貴重なヒューマンアセットなのです。
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社名 : 株式会社 風土
TEL : 03-5423-2323
担当 : 髙橋
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